岩釣兼生

岩釣 兼生の生涯と功績

基本情報

岩釣 兼生（いわつり かねお）は、1944年3月25日に熊本県で生まれました。2011年1月27日に逝去するまで、日本の柔道界に多大な影響を与えた柔道家でした。身長182センチ、体重105キロという体格を持ち、七段の称号を有していました。彼の晩年には、主に雑誌などで岩釣 兼旺の名前で知られることもありました。

来歴

柔道の道へ

岩釣は熊本県立鹿本高等学校に通っていた頃、柔道界の巨星である木村政彦にスカウトされ、拓殖大学に入学します。木村氏の指導は非常に厳格で、時には深夜に練習を起こされることもあり、彼にとっては24時間が練習時間と言っても過言ではありませんでした。そのような厳しい環境の中、岩釣は独自の技術を習得し、大学4年時にはキャプテンとしてチームを牽引しました。

1965年、岩釣は全日本学生柔道優勝大会決勝で明治大学を破り、拓殖大学を戦後初優勝に導きました。この試合には、東京オリンピックでの銀メダリストも含む、優れた選手たちが揃っていました。大学卒業後、彼は兵庫県警に勤務し、さらに自己研鑽を重ねました。下宿の庭で1000本の打ち込みを繰り返し、数々の警察大会で優勝を収めるなど、その努力は実を結びました。

1971年には、全日本選手権で初優勝を果たし、拓殖大学における木村政彦以来の快挙を成し遂げました。しかし、同年9月の世界選手権ではメダル獲得には至りませんでした。翌年の全日本選手権でも早期敗退となり、連覇は叶いませんでした。

プロ格闘技との関わり

岩釣は1976年に全日本プロレスデビューが決まりましたが、契約の際に社長のジャイアント馬場との間で意見の相違が生じ、契約は取り消されました。契約前に岩釣は木村政彦と共に、真剣勝負を前提とした特訓を受けており、プロレスへの復讐の意志を強く持っていました。この際に提示された条件は、馬場との対戦において岩釣が勝つことでしたが、馬場側はこれに対して反発し、結果的に契約は流れました。岩釣は「木村先生の敵を討つつもりだった」と語っています。

さらに、彼は昭和50年代に地下格闘技の大会に参加し、連戦連勝を果たしチャンピオンベルトを獲得しました。この活動は、賭博の対象となる違法な大会であったとされています。岩釣は、磨いた技術を駆使してこのコミュニティで名を馳せました。

指導者として

現役を引退した後、岩釣は拓殖大学でコーチとして後進を指導しました。また、1988年にはエジプト代表チームの監督を務め、その指導力を発揮しました。山下泰裕と決勝戦を戦ったモハメド・ラシュワンは、岩釣の指導を受けた選手の一人です。

後に彼は坂口道場で後進の指導にあたりました。サンボ競技にも取り組んでおり、1969年にはモスクワで開催された国際トーナメントで優勝しました。教え子の一人である武田美智子は、世界選手権でも優勝するなど、岩釣の指導が実を結びました。

最後には悪性リンパ腫で闘病していましたが、2011年に逝去しました。彼の柔道界への貢献と指導力は、多くの選手に影響を与え、記憶に残る存在となっています。

著書

彼は「木村政彦伝 鬼の柔道」という技術解説DVDを出版しています。その内容も多くの柔道家や格闘家に影響を与えています。

関連項目

• - 柔道家一覧

以上が、岩釣兼生の生涯と功績についての概略です。彼の影響は今なお多くの人々の心に残っており、柔道界における重要な人物として評価されています。

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