悪性リンパ腫

悪性リンパ腫についての詳細

悪性リンパ腫はリンパ系組織から発生する血液のがんの一種であり、全身のリンパ系で発生する特性のため、切除手術は困難です。治療には主に放射線療法や化学療法が使用されます。悪性リンパ腫には良性のタイプは存在せず、すべてが悪性に該当します。日本においては、「悪性リンパ腫」という用語が一般的に使われ、血液内科や耳鼻咽喉科、放射線科などが密接に関わる診療科目となっています。

病型の多様性

悪性リンパ腫は、その発生する細胞の種類に基づいてさまざまな病型に分類されます。これにはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫があります。特に欧米ではホジキンリンパ腫が多く見られますが、日本では非ホジキンリンパ腫が主なタイプです。病型によって治療法や予後が異なるため、自分の病型を理解することが重要です。

症状と進行

悪性リンパ腫の主な症状には、頸部、鼠蹊部、腋窩などのリンパ節の腫脹が含まれます。特に1cmを超える腫大や短期間での腫瘤数の増加は注意が必要です。全身症状としては、倦怠感、発熱、盗汗、体重減少が見られることがあり、これらはB症状として知られています。こうした全身症状は予後に影響を及ぼす因子となります。

診断と検査

悪性リンパ腫が疑われる場合、触診、血液検査、造影CTなどの検査が行われますが、確定診断にはリンパ節の生検が必要です。針生検よりも切除したリンパ節の組織を調べることが一般的です。病期の評価には、国際的に使用されているAnn Arbor分類が利用されます。また、予後因子として年齢、パフォーマンスステータス（PS）、LDH値、節外病変の数、病期などが考慮されます。

治療戦略

悪性リンパ腫に対する治療は、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植などが含まれます。予後因子によってその戦略は大きく異なるため、個々の状況に応じた適切な治療法を選択することが重要です。

神経系への影響

悪性リンパ腫は神経系に対しても影響を与えることがあります。圧迫や直接浸潤による神経障害、さらに免疫不全に伴うリンパ増殖性疾患（IDLPD）が分類されます。特に中枢神経系への浸潤が見られる場合、様々な神経症状が出現し、悪化することもあります。

末梢神経系への障害

悪性リンパ腫は末梢神経系にも影響を及ぼすことがあります。末梢神経への浸潤によって有痛性の多発神経障害が報告されており、MRIやFDG-PETを用いて評価が行われます。神経症状はさまざまなパターンで現れることがあり、筋力低下や神経因性膀胱などが認められます。

まとめ

悪性リンパ腫はその性質上、診断や治療が複雑であり、患者は自分の病型についてしっかりと理解する必要があります。症状の初期段階から注意を払い、適切な治療を受けることが、良好な予後に繋がるでしょう。

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