岳飛伝

岳飛伝の概要

『岳飛伝』は、北方謙三が手掛ける歴史小説で、2011年11月から2016年1月にかけて集英社の『小説すばる』に連載された作品です。前作『楊令伝』の続編であり、シリーズ全体の最終作として位置付けられています。物語は、金と南宋の厳しい戦闘を背景に、主に梁山泊のメンバーによる壮大なストーリーが展開されます。具体的な描写と史実の融合により、中国大陸、日本、西域、メコン川流域といった広範な地域での戦いを描いています。

物語の流れ

本作は、南宋初期の1136年から始まります。梁山泊のリーダーである楊令は、北宋を崩壊に導いた後、東西の貿易を促進し、中華全土の統一を目指しました。しかし、南宋と金はこの動きに対抗し、密約を交わして挟撃を試みますが、結果的には失敗に終わります。岳飛率いる岳家軍は南宋の軍閥として唯一、梁山泊に挑みますが、最終的には敗北し、岳飛も戦いの中で大きな損失を被ります。特に彼は右腕を失うという痛手を負い、楊令の暗殺によって生き残ります。

数ヶ月後、大洪水の影響や金国の裏切りが重なり、梁山泊は新しい指導者に呉用を迎え入れます。しかし、金国の軍総帥である兀朮は政治的権力を掌握し、南宋の併呑を目指して侵攻の準備を進める一方、南宋では宰相秦檜が権力を強化し、軍の改革を行います。

このような状況下で、岳飛は「盡忠報国」の精神を持って岳家軍を再編成し、金軍との戦闘に臨む決意を固めます。彼の言葉は、忠誠と義務感を強く表現しており、主人公としての役割を深く印象づけています。

登場人物

物語には、岳飛といった紅星の章に登場する主要キャラクターが描かれています。彼の忠義心と戦略的な思考が、数多くの戦闘において光を放ち、仲間たちをも激励する姿が描かれています。また、梁山泊の昔の仲間たちや、敵対する金国の武将たちの間の複雑な人間関係も物語の重要な要素です。彼らの行動や決断が、物語に緊迫感を与え、読む者を惹きつけます。

書籍情報

『岳飛伝』は全17巻から成り、各巻の発売日は以下の通りです：

• - 第一巻　三霊の章　2012年5月25日
• - 第二巻　飛流の章　2012年8月24日
• - 第三巻　嘶鳴の章 2012年11月26日
• - 第四巻　日暈の章　2013年2月26日
• - 第五巻　紅星の章　2013年5月24日
• - 第六巻　転遠の章　2013年8月26日
• - 第七巻　懸軍の章　2013年11月26日
• - 第八巻　龍蟠の章　2014年2月26日
• - 第九巻　暁角の章　2014年5月26日
• - 第十巻　天雷の章　2014年8月26日
• - 第十一巻　烽燧の章　2014年11月26日
• - 第十二巻　飄風の章　2015年2月26日
• - 第十三巻　蒼波の章　2015年5月26日
• - 第十四巻　撃撞の章　2015年8月26日
• - 第十五巻　照影の章　2015年11月26日
• - 第十六巻　戎旌の章　2016年2月26日
• - 第十七巻　星斗の章　2016年5月26日

本作品は、前作『楊令伝』や原典『水滸伝』との関連性が深く、歴史の深い裏話とキャラクターたちの感情が交錯することで、読者に新たな視点を提供し、不朽の名作として評価されています。

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