岸上伸啓

岸上 伸啓（きしがみ のぶひろ）

岸上伸啓は、日本を代表する文化人類学者であり、1958年生まれの高知県出身です。彼は国立民族学博物館の名誉教授として、人間文化研究機構の元理事を務めるなど、学術界での活躍が注目されています。

学歴と職歴

岸上は、早稲田大学で社会学を専攻し、大学院を修了後、カナダのマギル大学にて人類学の博士課程に在籍しました。その後、総合研究大学院大学で文学の博士号を取得し、1989年から大学での教育活動を開始しました。彼は、国立民族学博物館で多くの役職を歴任し、フィールド研究、博物館の展示、国内外の研究プロジェクトを手掛けています。

研究活動

岸上の研究は主に三つの分野に分かれています。第一に、カナダにおけるイヌイットの文化や社会に関する調査が挙げられます。彼は1984年から、北極地域のイヌイットの狩猟活動や家族構成についての調査を行い、その成果は数多くの論文として発表されています。

第二に、都市に住むイヌイットの生活状況に焦点を当てた民族誌的研究です。モントリオールに住むイヌイットを対象に、社会的・経済的問題を明らかにするためのインタビュー調査を実施し、その成果は関連する政策策定に役立てられました。

第三に、海洋資源の利用とその管理に関する人類学的研究です。彼はシロイルカやホッキョククジラの捕獲に関する調査を通じて、先住民の資源利用の重要性を訴えています。岸上の研究成果は、数々の国際的な学術出版物として体系化されており、彼の見解は広く評価されています。

展示活動と著作

国立民族学博物館では、イヌイットのアートや文化に関する展示にも関わり、特に「越境する民族文化」や「カナダ先住民の生み出す美」などの特別展を企画しました。著作も多く、特に『極北の民 カナダ・イヌイット』や『イヌイット「極北の狩猟民」のいま』は、非常に高い評価を受けています。

国際的な影響と今後の展望

岸上は、日本学術会議や文化人類学会の理事も務めるなど、国際的な研究プロジェクトにも参画し続けています。アラスカ大学やその他の国際機関と連携し、北太平洋地域における先住民文化の比較研究を推進しています。彼の研究は、文化人類学に新たな視点をもたらし、地域史やグローバルな視野からの考察を深める重要な役割を果たしています。今後も、彼の活動は注目され続けるでしょう。

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