岸川真

岸川 真：作家・フリー編集者

岸川真（きしかわ しん）は1972年に長崎県で生まれ、現在は東京都中央区月島に住んでいる作家およびフリー編集者です。母子家庭で育った彼は、最初に長崎県立長崎南高等学校を卒業し、その後山口大学人文学部に入学しましたが、中退しました。アルバイトをしながら生活していた彼は、日本映画学校（現在の日本映画大学）に進学し、無事に卒業。その間、商業目的の音楽ビデオ制作に携わり、著名な映画評論家佐藤忠男の指導を受けました。

卒業後は助監督や出版社「ソフトマジック」での勤務を経て、フリーランスの編集者として活動を開始。彼は、提携した佐藤忠男と共に『映画評論の時代』という書籍を出版するなど、映画業界に足を踏み入れました。その後も自身の著作を通じて多くの人々と関わり、特に伊集院光との著書『球漫』ではラジオ番組で彼の名前が何度も呼ばれるというエピソードも残しています。

彼の経歴は多様で、岩波新書や岩波現代文庫、さらには岩波ジュニア新書などで編集を行い、また『映画秘宝』での執筆も手がけました。彼が担当した著者には、佐藤忠男や筒井康隆、高橋源一郎らが名を連ね、幅広いジャンルで活動していることが伺えます。この他にも、雑誌『伝説マガジン』では編集者としての側面を発揮しました。

書籍活動

岸川は著作も多数残しており、彼にとっての代表作には『フリーという生き方』や『佃島月島游記 都会の島の物語』などがあります。特に『蒸発父さん 詐欺師のオヤジを探しています』は、幻冬舎文庫としての人気作となりました。また、2013年に出版された『突撃! 貧乏ライター戦記』では、ルポタージュ的な視点から社会問題に迫り、幅広い読者層の共感を得ています。

信念を持って執筆を続ける岸川は、独特のユーモアを交えながら、貧困や出生といった重いテーマを扱っています。彼の文体は硬軟を織り交ぜ、読者が親しみやすく感じる作品が多いのが特徴です。また、彼は自らを「最後の破滅型文士」と称しつつも、「破滅したくない」との日記で表明しています。彼の作風は、現代の作家として独自のポジションを確立させている要素とも言えます。

さらに、彼はフリー編集者としての不安定な生活の中で心の健康にも苦しみ、鬱病やパニック症を持病として抱えることで、メディアに対し正しい理解を呼びかけています。これに基づき、彼は自著『フリーという生き方』と『フリーの教科書』によって、フリーランスで働く人々へのメッセージを送っています。

現在、岸川は南陀楼綾繁と共にリトルマガジン「雲遊天下」で連載を進めており、また約三百枚の原稿を短時間で執筆する速筆家としても知られています。彼の先輩としては作家の吉田修一が名を連ねており、映画学校での同期には李相日や松江哲明らがいます。岸川真の作品は、文芸や映画の枠を超えて、多くの人々に影響を与え続けています。

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