岸田裕之

岸田裕之（きしだ ひろし）は、1942年8月生まれの日本の歴史学者です。中世史、特に中国地方の歴史を専門とし、広島大学名誉教授、龍谷大学教授を務めました。

来歴と研究

岡山県で生まれた岸田氏は、1970年に広島大学大学院博士課程を単位取得満期退学しました。その後、鳥取大学教育学部助教授を経て、1980年に広島大学文学部助教授、1990年に教授に就任。後に文学研究科長も務めました。

1981年には、「大名領国の構成的展開」の研究で広島大学から文学博士号を授与されました。専門分野は、山陽道筋、中国地域、瀬戸内海地域における大名領国の政治構造、経済構造、意識構造の研究です。地域史の視点から、中世日本の社会構造を解明する研究が高く評価されています。

社会的活動

岸田氏の研究は、学術的な分野にとどまらず、広く一般にも影響を与えました。1997年のNHK大河ドラマ「毛利元就」では時代考証を担当し、歴史ドラマの正確性とリアリティの向上に貢献しました。また、2000年には中国文化賞を受賞しています。

2005年に広島大学を定年退職後、龍谷大学教授に就任し、後進の育成に尽力しました。

著書

岸田氏は、数多くの著作を通じて研究成果を発表しています。主な著書には、以下のようなものがあります。

『大名領国の構成的展開』（吉川弘文館、1983）
『大名領国の経済構造』（岩波書店、2001）
『大名領国の政治と意識』（吉川弘文館、2011）
『毛利元就』（ミネルヴァ書房、2014）

また、編著として以下の書籍も手がけています。

『中国大名の研究』（吉川弘文館、1984）
『広島県の歴史』（山川出版社、1999）
『中国地域と対外関係』（山川出版社、2003）
『毛利元就と地域社会』（中国新聞社、2007）

これらの著作は、中世史研究における重要な参考文献として、現在も広く活用されています。

岸田裕之氏は、長年にわたり、中国地方の中世史研究に貢献し、多くの研究者や学生を育成しました。その研究成果は、地域史研究の発展に大きく寄与しています。

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