岸記念体育会館

岸記念体育会館の概要と歴史

岸記念体育会館（きしきねんたいいくかいかん）は、東京都渋谷区神南一丁目に位置していた重要な建物で、日本のスポーツ界の中心的な役割を果たしていました。この会館は、日本スポーツ協会（旧・日本体育協会）など、様々なスポーツ団体の本部を持ち、多くのスポーツイベントや会議が行われる場でもありました。

建設の背景

この会館は、第2代大日本体育協会会長である岸清一氏の遺志によって設立されました。岸氏は、約100万円（現在の価値に換算すると約28億円相当）を寄付し、1940年に初代の会館が東京府神田駿河台に建設されました。設計は「岸田日出刀設計顧問、前川國男建築設計事務所」によって行われましたが、実質的な設計は丹下健三が担当しました。この建物は、1964年の東京オリンピック開催時に移転され、新たに渋谷区神南に設立されました。

建物への誤解

新たな岸記念体育会館は、その名称や塔屋に「岸体育館」との表記があるため、体育館機能を持つと誤解されることがしばしばありました。しかし、実際にはこの施設はオフィスビルとして機能していました。地下1階には体育協会資料室が設けられ、スポーツに関する書籍の閲覧が可能でした。また、前方には岸清一の銅像が建立され、訪れる人々に親しまれる存在になっていました。

移転と解体の経緯

しかし、年月が経つにつれて建物の老朽化や耐震性が問題視されるようになり、2011年7月には日本体協の創立100周年を迎えるにあたって、建て替えが検討されました。新しい施設内では「日本スポーツ殿堂」を設ける計画もありましたが、東京都の都市計画公園に指定されているため、建築に関する規制が厳しく、計画は難航しました。このような状況の中、日本陸上競技連盟や日本バスケットボール協会は、職員の安全を理由に移転を行い、建物の未来に対する懸念が高まりました。

2013年9月、東京都は明治神宮外苑周辺の再整備とともに新しい建物への移転を提案し、2016年には新宿区霞ヶ丘町の東京都所有地に新ビルを建設する計画が具体化しました。この新施設は「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」と名付けられ、2019年4月に完成しました。各競技団体はその後、順次新施設に移転し、解体作業は2019年8月1日から始まりました。解体後、この土地は代々木公園の一部として整備される予定です。

まとめ

岸記念体育会館は、日本のスポーツ界の総本山として、多くの歴史的な瞬間とともにありました。入居していた団体には、日本サッカー協会や日本オリンピック委員会など、多数の協会がありました。新たな施設「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」には、岸清一メモリアルルームが設けられ、彼の功績を称える場ともなっています。

当館の移転とその後の解体は、日本のスポーツ界における変遷を象徴する出来事となりましたが、新しい施設が新たな歴史を刻んでいくことでしょう。

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