島本義文

島本 義文（しまもと よしふみ）

島本義文は1911年10月12日に和歌山県で生まれたプロ野球選手で、捕手として活躍しました。彼の選手としてのキャリアは、特に甲子園や阪急軍での経験と功績によって色濃く記憶されています。しかし、彼の運命は戦争によって暗転し、詳細は不明ながら戦死しました。彼の名は、東京ドームの敷地内にある鎮魂の碑に刻まれ、今も多くの人々に思い出されています。

来歴と人物

島本は和歌山県立和歌山中学校（現在の和歌山県立桐蔭高等学校）に在学中、「中学球界の麒麟児」として知られた小川正太郎とのバッテリーを組み、1926年から1930年までの5年間にわたり、甲子園の全国大会に8度も出場しました。特に1927年春の第4回選抜中等学校野球大会での優勝は、彼のキャリアにおける大きな成功の一つです。この大会での活躍により、優勝校に贈られる米国遠征にも参加しました。また、1928年春には第5回選抜中等学校野球大会で準優勝を果たし、その後の野球人生においても強い印象を残しました。

和歌山中卒業後、島本は横浜高工に進学し、「ハマの早慶戦」と呼ばれた横浜高商との定期戦でもその存在感を示しました。しかし、彼の野球キャリアは、1934年に1度目の応召により一時中断されます。戦地での生活を送り、2年間の兵役を終えた後、1936年に小野三千麿の推薦を受けて阪急軍に入団しました。

阪急軍での活躍

阪急軍の設立当初、彼は監督の三宅大輔や他の選手たちと共に結成メンバーとして参加しましたが、入団時にすでに肩に問題を抱えており、正捕手としての地位を確保することはできませんでした。これにより、実際の試合では正捕手となった倉本信護の控えに位置することを余儀なくされました。しかし、彼の選球眼は優れており、通算成績も四球が三振を上回るという良好なものでした。さらに1937年7月16日、阪急球団初のノーヒットノーランが石田光彦によって達成された際には、捕手としてその瞬間に立ち会い、阪急軍の初期の成長を支えました。

戦争とその後

1938年秋季シーズン終了後、彼は2度目の応召を受け、再度戦地へ赴くことになりました。この際、彼の運命は厳しく、後に戦死することとなります。具体的な死亡年月日や場所は不明ですが、彼の功績は現在も多くの人々に記憶されています。特に、東京ドームの鎮魂の碑には彼の名前が刻まれ、今もファンや野球関係者の心に残る存在です。

島本義文の人生は、野球界での成功とその後の戦争による悲劇的な結末によって形成されています。彼の存在は、野球の歴史を語る上で欠かせないものとなり、多くの人々に影響を与え続けています。

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