島津忠長 (都城家)

島津忠長（しまづ ただなが）

島津忠長は、江戸時代前期の薩摩藩士であり、都城島津家17代当主として知られています。正保2年（1645年）、薩摩藩2代藩主・島津光久の三男として江戸で生まれました。

北郷家相続と都城島津家の成立

寛文2年（1662年）、忠長の次兄で北郷家16代当主であった久定が、後継者を残さずに19歳で急逝しました。このため、喜入家の養子となっていた忠長が、島津宗家の命により北郷家を相続することとなりました。この際、宗家の命により、久定の妻であった北郷家15代当主・久直の娘、千代松と結婚しました。そして、家名を北郷から島津に改めたことで、都城島津家が成立しました。ただし、島津姓を名乗ったのは都城領主である本家のみで、その他の庶流は引き続き北郷姓を名乗りました。

父・光久からの教訓

父である藩主・光久は、忠長に対し、都城島津家が代々島津宗家に忠誠を尽くし、その家名を汚さないようにと戒めました。また、都城が他藩との境界に位置することから、防備を怠らないようにと注意しました。さらに、文武両道に励むことの重要性を説いた教訓書を忠長に与えています。これらの教訓は、忠長の領主としての行動指針となったと考えられます。

文武両道に秀でた人物

忠長は、英邁で武芸を好んだと伝えられています。父・光久に従い江戸に赴いた際には、槍術を湯浅武兵衛に、軍法を澤崎主水に学び、その奥義を極めたとされています。しかし、寛文10年（1670年）、江戸で病に倒れ、26歳という若さで亡くなりました。後継者がいなかったため、八弟の久理が家督を相続しました。

参考文献

『本藩人物誌 鹿児島県史料集第13集』鹿児島県立図書館、1973年
瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年
『都城市史』
『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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