島津運久

島津運久（しまづ ゆきひさ）

島津運久は、戦国時代に活躍した武将であり、薩摩国（現在の鹿児島県）の有力大名である島津氏の分家、相州家の二代目当主です。

生涯

明応3年（1494年）、伊作氏の当主であった伊作善久が、家臣によって殺害されるという事件が起こりました。この時、善久の妻であった梅窓夫人は、夫の死後、島津運久と再婚することになります。しかし、この結婚には、梅窓夫人から提示された特別な条件がありました。それは、善久の遺児である菊三郎（後の島津忠良）を、相州家の後継者とするというものでした。

この条件を受け入れた運久は、永正9年（1512年）、約束通りに相州家の当主の座を菊三郎に譲り、自らは隠居しました。これは、当時の武家社会においては異例のことであり、運久の決断は、彼の寛大さと、梅窓夫人との約束を重んじる誠実さを示すものとして、特筆に値します。

隠居後も、運久は島津氏のために尽力しました。特に、島津宗家の領内で行われた平定戦では、武将として活躍し、その武勇を示しました。彼は、隠居の身でありながらも、戦場での経験と知識を活かし、島津氏の勢力拡大に貢献しました。

天文8年（1539年）、島津運久は72歳で生涯を閉じました。彼の人生は、当主の座を譲るという異例の決断や、隠居後も武将として戦い続けたという、特筆すべき事柄に彩られています。島津氏の歴史においても、運久は特別な存在として語り継がれています。

島津運久は、戦国時代の武将としての勇猛さだけでなく、約束を守る誠実さ、そして大局を見据える冷静さを兼ね備えた人物であったと言えるでしょう。

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