島清興

島清興（島 左近）

島清興（しま きよおき）、通称島左近は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。彼は筒井氏や石田三成の家臣として知られ、“治部少に過ぎたるものが二つあり、島の左近と佐和山の城”と称賛される逸材でした。その実名は勝猛という説もありますが、一般的には清興が正しい名前とされています。本稿では、特に左近に焦点を当てていきます。

生涯

出自と初期の歴史

島左近の生まれついては、対馬国や近江国という説も存在しますが、現代の研究では大和国出身と考えられています。島氏は奈良県生駒郡平群町周辺に本拠を構えており、椿井城や西宮城を根拠地としていました。平群町にある安養寺には「天文18年9月15日 嶋佐近頭内儀」と刻まれた位牌が残されており、左近の母に関連するものと考えられています。

左近の家族には興味深い点があります。彼の娘、珠は柳生利厳と結婚し、剣豪として知られる柳生厳包が外孫にあたります。

筒井氏と豊臣氏への仕官

筒井家において、左近はすでに若くして重臣に登り詰めていました。天文19年（1550年）、筒井順昭の死後、2歳で跡を継いだ順慶を支える役割を果たしたことで知られ、同時に松倉重信（右近）と共に「右近左近」と称されました。

天正12年（1584年）には、順慶が死去すると彼の甥の定次が後を継ぎましたが、定次は酒色に溺れ政治を無視したため、左近は筒井家を去ることになります。その際、島領の農民と中坊秀祐領の農民との水利問題が大きく影響したとも考えられています。

石田三成との関係

やがて石田三成からの仕官の申し出を受けることになった左近。彼はこれまで多くの要請を断り続けていましたが、三成の熱心な説得を受け入れ、2万石の禄高を得る破格の待遇で仕官しました。三成にとって、左近の存在は非常に大きなものであり、彼は佐和山城下に屋敷を構えます。

左近が活躍した時期には、数々の軍事行動に従事しました。特に彼は小田原征伐頃から三成の下で重要な役割を担っており、外交交渉でもその手腕を発揮しました。

関ヶ原の戦い

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、左近は西軍に属して奮闘しました。彼は少なくとも500の兵を率いて敵軍に対抗し、初めは西軍有利に進展しました。しかし、戦闘の最中、黒田長政軍に狙われ負傷しつつも、再び出陣し、激しい戦闘を繰り広げました。しかし最終的には討ち死にしてしまいます。その戦いぶりは、敵軍に恐れられたことが記録に残っています。

左近は61歳という年齢でその生涯を終え、彼の墓は奈良市や京都市に存在します。また、彼の従弟である島勘左衛門も戦に命を落としています。彼は石田三成に仕えており、同じ運命を辿っている点が興味を引きます。

異なる伝説と遺産

伝説や異説も多くあり、左近は家康暗殺を企画したなどの話も残されています。また、関ヶ原後に逃れて潜伏し、最終的に京都で生活していたという説もあります。彼の使用した兜が博物館に保管されているなど、彼の影響は今もなお続いています。

評価と文化的な影響

島左近は、戦国時代の武将としての重要な位置を占め、多くの文学作品や映画においても扱われています。彼の生涯は、勇敢な武士の典型として語り継がれ、遂には彼の存在を模したキャラクターや物語が多く生まれることになりました。特に小説やドラマでは、彼の武勇が色濃く描かれています。彼の功績は日本の歴史において永遠に語られることでしょう。

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