島田嘉七

島田 嘉七 (しまだ かしち)

生い立ちと初期の活動

島田嘉七は、1895年8月14日に東京で生を受けました。子供の頃からその愛らしい容姿から「女の子のように可愛らしい」と称され、将来の役者として期待を寄せられていました。早稲田大学附属の東京中学校を中退後、彼は伊井蓉峰の一門に入門し、1909年に新富座で初めて舞台に立ちました。この時、彼は新派の女形としてステージに登場し、その後大阪に移り、関西歌舞伎の一座で活動を続けました。ここで「嵐 璃文」という芸名を名乗ることになります。

映画界への転身

1919年、島田は日活向島撮影所に入社し、映画俳優としてのキャリアをスタートさせます。同年には『破れ筏』や『恋の津満子』に女形として出演し、その演技力と美貌で多くのファンを魅了しました。しかし、その後男役へと転向し、東猛夫や衣笠貞之助といった男優たちとの共演を通じて、さらなる人気を集めることになります。

楽しみながらも試練の多い映画界で彼は、1922年に国際活映へ移籍。そこでは、監督衣笠貞之助との共同作業を常に行い、新たな作品を生み出すことでスターとしての地位を確立します。

名作と影響

島田のキャリアの中で、特に『八幡屋の娘』や『嵐の舞』での役が評価されました。1930年代には松竹蒲田撮影所に移り、トーキー映画の時代に入ると、彼は端役を演じることが多くなりましたが、それでも存在感を示しました。特に『忠臣蔵』シリーズでは、重要な役どころを演じ、視聴者の心に深く刻まれました。

前述のように、彼の華やかな舞台と映画での活動は、多くの観客の心を掴みましたが、1935年を境に通算の出演記録が途絶え、彼の後生活についての情報は少なくなってしまいます。

戦争とその後

戦中、島田は地方を巡って慰問活動を行うも、戦後は疎開生活を選び、長野県へと移り住みました。石鹸会社で勤務しながらも、彼の公の場からの姿は見えなくなりました。消息は不明なままであり、帰還後の生活についての詳細は謎に包まれています。

まとめ

彼の人生は、1895年から何を成し遂げたかという視点から映画史の一部として理解することができます。俳優としての存在感と魅力は、古き良き日本の映画時代における貴重な遺産として、今もなお多くの人々に愛され続けています。島田嘉七は美しさと才能を兼ね備えた稀有な存在であり、その足跡は日本映画の歴史に深く刻まれています。

もう一度検索