崔太敏

崔太敏（チェ・テミン）の人物像とその影響

崔太敏（1918年11月5日 - 1994年5月1日）は、大韓民国において牧師、呪術師そしてシャーマンとして知られる異色の宗教家である。彼の生涯は、信仰、政治、そして霊的な影響力が交錯する複雑な道のりであった。彼の名声は、特に朴正煕大統領の権力時代に集中し、彼が「韓国のラスプーチン」と称される所以でもある。

生い立ちと宗教活動の始まり

崔太敏は黄海道鳳山郡に生まれた。日本の植民地時代には警察官として勤務し、光復後には僧侶に転身したとされる。彼は6度の結婚歴があり、使用した偽名も多数存在した。1970年代初頭には、仏教、キリスト教、天道教を融合させた新宗教、永世教の創立者となり、多くの信者を集めることに成功した。

政治への関与と朴槿恵との関係

崔の名が特に知られるようになったのは、1974年の朴正煕大統領夫人陸英修の暗殺事件後のことである。彼は、陸夫人の霊から受け取ったメッセージを朴槿恵に伝え、彼女との深い関係を築いた。朴槿恵が崔に信頼を寄せるようになると、彼は韓国の政界において重要な立ち位置を得ることになる。

1975年には「大韓救国宣教団」を創設し、その総裁に就任。朴槿恵を名誉総裁に迎え、その影響力は大いに増した。当時の噂では、崔と朴槿恵は非常に親密な関係であり、朴槿恵が崔を擁護する姿勢は朴正煕にまで知られることとなった。

崔の権力と影響力

1970年代後半、崔は青瓦台に頻繁に出入りし、権力を握る一方で、他の宗教団体との摩擦も生じていた。報告書により朴正煕から尋問を受けることもあったが、彼はその場を切り抜け、影響力を持ち続けた。1979年の朴正煕暗殺前には金載圭からの報告が提出され、崔の経歴や不正もが取り上げられた。

崔の死とその後の影響

1994年、崔太敏は慢性腎不全で亡くなったが、彼の影響はその死後も続いた。朴槿恵の政治キャリアの中で、崔の家族、特に娘の崔順実が重要な役割を果たし、朴槿恵が大統領に就任する際の背景にも崔の存在があったと言える。特に、崔順実ゲート事件は、崔太敏の影響を受けた結果として解釈されることも多い。

結論

崔太敏の生涯は、宗教と政治という二つの領域がどのように交差し、互いに影響を与えるかの一例である。彼の存在は、韓国の歴史において忘れがたい影響を残しており、今なお多くの議論を呼ぶ存在である。

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