崔慶禄

崔慶禄（チェ・ギョンノク）：激動の時代を駆け抜けた軍人、外交官、政治家

崔慶禄（チェ・ギョンノク、최경록）は、1920年9月21日に日本統治下の忠清北道陰城郡で生まれ、2002年9月2日に老衰のため亡くなった、大韓民国の軍人、外交官、そして政治家です。彼の人生は、日本統治時代から朝鮮戦争、そして韓国の民主化へと向かう激動の時代と重なり、その中で彼は軍人として、外交官として、そして政治家として重要な役割を果たしました。

軍人としての経歴

崔慶禄は、日本陸軍に志願し、優秀な成績で下士官候補生に選ばれました。陸軍士官学校の試験にも合格しましたが、入校待機中に南方戦線に送られ、ニューギニアの戦いを経験。重傷を負いながらも生還しました。解放後、彼は韓国軍に入隊し、第1連隊の創設に携わりました。朝鮮戦争では、臨津江の戦闘で勇戦し、その後も首都師団参謀長、憲兵司令官、陸軍憲兵学校校長などの要職を歴任しました。

政治家、外交官としての経歴

軍を退役後、崔慶禄は政界に転身し、駐メキシコ大使、駐イギリス大使を経て、交通部長官に就任しました。交通部長官時代には、裡里駅爆発事故の責任を取って辞任するなど、その責任感の強さを示しました。その後、維新政友会議員として国会議員となり、全斗煥政権下では駐日大使を務めました。しかし、産経新聞に掲載された寄稿文をめぐる騒動では、自身の関与を否定するなど、晩年までその言動が注目されました。

四月革命と五・一六軍事クーデター

1960年の四月革命では、宋堯讃戒厳司令官の発砲命令を中断させ、事態の悪化を防ぎました。同年、陸軍参謀総長に就任し、韓国軍初の兵力削減を断行するなど、軍の効率化に貢献しました。しかし、1961年に起きた五・一六軍事クーデターは消極的に支持するに留まり、その後予備役編入となりました。

日韓協定反対と民主化運動

1965年には、日韓協定に反対する声明を発表し、朴正熙政権を批判しました。デモによって学生と軍が衝突する中、「国軍将兵に送る呼訴文」を発表し、国軍将兵に愛国国民に銃を向けてはならないと訴えました。この事件で逮捕、取り調べを受けましたが、信念を曲げることはありませんでした。

人物像と評価

崔慶禄は、軍人として、外交官として、そして政治家として、常に国家と国民を第一に考え、行動しました。その愛国心と責任感、そして信念を貫く姿勢は、多くの人々に感銘を与えました。しかし、その一方で、五・一六軍事クーデターへの関与や、晩年の言動など、評価が分かれる側面もあります。いずれにしても、崔慶禄は韓国現代史における重要な人物の一人であり、その生涯は、激動の時代を生き抜いた人々の姿を映し出しています。

参考資料

崔慶禄に関するWikipedia記事

韓国近現代史に関する書籍、論文

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