宋堯讃

宋堯讃（ソン・ヨチャン）

宋堯讃（ソン・ヨチャン、송요찬、1918年2月13日 - 1980年10月18日）は、大韓民国の軍人、政治家です。本貫は礪山宋氏で、日本統治時代には中村貞夫と創氏改名していました。号は石虎です。

済州島四・三事件では、強硬な鎮圧作戦を指揮し、多くの住民が犠牲になるという悲劇を引き起こしました。朝鮮戦争では、首都師団を率いて韓国軍の猛将として知られ、休戦後には参謀総長を務めました。1960年の四月革命では、戒厳司令官として学生に対して中立的な立場を保ち、李承晩政権崩壊のきっかけの一つとなりました。

生涯

幼少期

1918年2月13日、忠清南道青陽郡で生まれました。父は宋ヨンダル、母は李氏です。裕福な家庭ではありませんでしたが、母親の熱心な教育により、書堂と公立普通学校に進学しました。1927年に父親が亡くなると、家計を支える必要に迫られ、上級学校への進学を断念しました。しかし、学びへの意欲は衰えず、近所の書堂で漢学を学び、2年間金剛山に入山して漢学と書道を修めました。

日本軍時代

強制労働を避けるため、日本陸軍特別志願兵を志望しました。最初の身体検査では内反膝のため不合格となりましたが、懸命な努力により克服し、1939年に合格しました。訓練所では優秀な成績を収め、銃剣術助教に選ばれました。その後、下士官となり、1945年の終戦時には朝鮮総督府京城第1軍務予備訓練所の助教として陸軍曹長でした。

解放後

解放後、乱立する私設軍事団体には失望し、どの団体にも所属しませんでした。1945年9月から10月にかけては国立警察に所属しましたが、すぐに辞めました。1945年12月、米軍政が国防警備隊の創設計画を発表すると、軍事英語学校に志願し合格しました。学校では日本軍下士官出身という理由で侮蔑を受けましたが、その悔しさをバネに勉学に励み、英語能力を向上させました。

1946年4月に軍事英語学校を卒業し、少尉に任官。第5連隊の創設に参加し、その後、第8連隊の編成を支援しました。1947年2月には大尉に昇進し、第8連隊第3大隊長に就任しました。厳しい訓練を課したため、将兵から反発を受け、集団暴行される事件も起こりました。

1948年6月、済州島四・三事件で鎮圧部隊の連隊長が暗殺されると、後任の副連隊長に任命されました。米軍顧問団からの信頼も厚く、1948年7月には第9連隊長に昇進しました。麗水・順天事件では、第9連隊内の左翼勢力を一掃する成果を上げました。しかし、強硬な鎮圧作戦は住民に大きな犠牲をもたらし、特に1948年11月以降の作戦では、老若男女を問わず多くの人々が犠牲となりました。

1949年2月、第9連隊は首都旅団に編入されました。その後、陸軍本部を出入りする中で、軍内の派閥争いに失望します。1949年5月には東海岸の第10連隊長に就任しますが、越境するゲリラ掃討作戦に失敗し、解任されました。しかし、陸軍本部は彼を大領に昇進させ、陸軍歩兵学校学生監としました。

朝鮮戦争

1950年6月25日の朝鮮戦争勃発時、陸軍歩兵学校で教育を受けていましたが、直ちに主要政府機関の警備強化や将兵の招集、落伍兵の収拾に奔走しました。韓国銀行の金塊を鎮海海軍司令部に輸送する任務も遂行しました。また、憲兵司令官として、南労党系や保導連盟関係者の予備検束と処刑を指示しました。

1950年6月28日、水原に後退し、落伍兵の収容や漢江防御線を支援しました。1950年7月には予防拘禁特別措置令を布告し、不法な予備検束を合法化しました。同年8月、大邱防衛司令官を兼任し、民心安定に努めました。

1950年9月1日、首都師団長に任命され、慶州で北朝鮮軍の攻勢を阻止しました。その後、北進作戦に参加し、ソ連国境付近まで進出しましたが、中国人民志願軍の介入により撤退しました。1951年1月には江陵を占領し、主に東海岸の戦闘を指揮しました。

1951年5月の中国軍の攻勢では、大関嶺を確保し、中国軍の江陵進出を阻止しました。1951年7月にはパンチボウル占領作戦に参加し、924高地をめぐる激戦で勝利しました。1951年10月には高城付近の月比山を占領し、東部戦線を北上させました。

1952年には、ゲリラ討伐の経験を買われ、西南地区戦闘司令官に任命されました。その後、首都師団長に復帰し、米軍の砲兵支援を改善させ、首都高地の奪還に貢献しました。1953年7月には第8師団長に任命され、金城の戦いで指形稜線と690高地を奪還しました。

休戦後

休戦後、アメリカ陸軍指揮幕僚大学に留学し、1954年8月、第3軍団長に任命されました。同年9月には中将に昇進しました。1957年5月には第1軍司令官に就任し、軍の改革を推進しました。1959年2月には陸軍参謀総長に就任し、軍内部の不正を厳しく取り締まりました。

1960年3月の大統領選挙では、軍内部の選挙不正を主導しました。その後、4月革命が発生すると、戒厳司令官に任命され、学生に対して中立的な態度を保ちました。デモ隊への発砲命令を拒否し、逮捕された学生を釈放するなど、混乱収拾に尽力しました。しかし、この行動は朴正熙少将から批判を受けました。

1960年5月に予備役編入となり、同年8月末にはジョージ・ワシントン大学に留学しました。留学中に5・16軍事クーデターが発生すると、これを支持し、国防部長官として帰国しました。1961年6月には国家再建最高会議企画委員長兼国防部長官に、7月には内閣首班に就任しましたが、陸士8期出身者との対立が深まり、1962年6月に辞任しました。

1963年、朴正熙の退陣を求める声明を発表しましたが、中央情報部に拘束され、一時的に収監されました。1963年の大統領選挙では獄中から出馬しましたが、政治への幻滅から立候補を辞退しました。

1965年には、日韓基本条約に反対する声明を発表し、国軍将兵には国民に銃を向けてはならないと訴えました。1970年には仁川製鉄会社社長を務めました。

1980年8月に腎臓病治療のため渡米し、同年10月18日にシカゴで亡くなりました。葬儀は陸軍葬として行われましたが、国立ソウル顕忠院ではなく故郷に埋葬されました。

勲章

太極武功勲章
レジオン・オブ・メリット（4回）
エア・メダル

参考文献

(ここに参考文献を記載)

もう一度検索