崔銀姫

崔銀姫（チェ・ウニ）について

崔銀姫（チェ・ウニ、1926年11月20日 - 2018年4月16日）は、韓国の著名な女優としてその名を轟かせた存在であり、特に1960年代から1970年代にかけて、国内外で多くの映画に出演し、数々の賞を受賞しました。彼女の本名は崔慶順（チェ・ギョンスン）。舞台や映画での活躍は、彼女を韓国映画界の中心的人物に押し上げました。彼女の映画デビュー作は1947年の『新しき誓い』です。

経歴と初期の活躍

京畿道の広州市で生まれた崔銀姫は、1944年に高等女学校を卒業後、劇団「現代劇場」に入団し、演劇を通じてそのキャリアをスタートさせました。1948年に出演した映画『夜なかの太陽』から、彼女は瞬く間に名声を得て、韓国映画のトロイカと称されるほどの人気女優となりました。1954年には映画監督の申相玉と結婚し、夫妻は1960年代に申フィルムを設立しました。彼女は130本以上の映画に出演する中で、代表作には『地獄花』や『離れの客とお母さん』などがあり、多くの観客に愛されました。

拉致事件と北朝鮮での生活

崔銀姫の運命が大きく変わるのは1978年のことです。彼女は香港にて、実業家を装った工作員に誘拐され、北朝鮮へと連れ去られました。彼女は北朝鮮に到着後、金正日の別荘に移され、政治的な目的で映画の制作に関与することを強いられました。金正日は、崔銀姫を映画界の発展に活用しようとしましたが、それは彼女にとって非常に厳しい状況でした。

北朝鮮での生活中、崔は多くの恐怖と困難に直面し、自らの抑留経験を強く心に刻みました。彼女は北朝鮮での生活を通じて、さまざまな女性と出会い、その中でも「ミス・孔」と呼ばれる女性との友好関係が特に印象に残ります。この経験を経て、彼女はローマ・カトリックへ改宗し、「マザリン」と名乗るようになりました。

再婚と映画制作

1983年3月、崔銀姫は離婚した夫である申相玉との再会を果たしました。彼らは金正日の勧めもあって再婚し、共同で映画を制作することになります。その中には、崔が最優秀女優賞を獲得した1985年の作品『塩』も含まれます。しかし、金正日によって拉致されたという過去は、彼女の心に消えることのない傷を残しました。

西へ向かって

1986年、崔銀姫と申相玉はオーストリアのウィーンで脱出を試み、アメリカ大使館に駆け込み、政治亡命を求めることに成功しました。以降、彼らはアメリカで生活し、1999年には韓国に帰国しました。戻った後は、北朝鮮での経験について証言し、拉致問題の解決に向けた取り組みを続けました。

死去と遺産

2018年、91歳で亡くなった崔銀姫の死は、韓国社会に深い悲しみをもたらしました。彼女の生涯は多くの映画や書籍、ドキュメンタリーによって広められ、その影響力は現在も続いています。彼女の波乱に満ちた人生は、ただの映画界の伝説に留まらず、北朝鮮の人権問題に対するシンボルともなっています。彼女のことを知る人々にとって、崔銀姫はただの女優という枠を超え、勇敢な女性の象徴であり続けるでしょう。

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