嵐璃徳

嵐璃徳（あらし りとく）

嵐璃徳は、1875年（明治8年）12月31日に大阪で生まれた歌舞伎役者、映画俳優です。本名を井上徳太郎といい、幼少の頃から芸事に親しみました。4歳で先代・嵐璃徳に入門し、1882年に大阪の角座で初舞台を踏みました。1894年には「嵐璃徳」を襲名し、関西歌舞伎の若手として注目を集めました。

映画俳優としての活躍

1908年、京都の千本座で公演中、横田商会からの依頼で牧野省三が映画を制作することになり、璃徳はこれに出演。日本初の時代劇映画『本能寺合戦』で森蘭丸を演じ、映画俳優としてデビューしました。この作品は、日本における映画史の幕開けを告げる重要な作品となり、璃徳もまた、日本初の映画俳優の一人として名を刻みました。

その後、1917年には天然色活動写真（天活）の映画『大石山科の別れ』で大石内蔵之助を演じました。天活の崩壊後、1920年に帝国キネマ演芸（帝キネ）が設立されると、璃徳は劇団とともに帝キネに入社。中川紫郎が監督した『大江山酒呑童子』や、『忍術三勇士』、『丸橋忠弥』など、数々の作品で主演を務めました。

1931年には、帝国キネマ演芸が新興キネマに改組され、引き続き新興キネマに所属しました。1935年、中川信夫監督の『恥を知る者』を最後に映画界を引退し、舞台へと復帰しました。生涯で270本を超える映画に出演しました。

晩年と最期

映画界引退後は、舞台で老け役を中心に活躍しましたが、台詞のいい加減さで周囲を困らせることもあったようです。1945年、近鉄奈良線河内小阪駅で倒れ、病院に搬送されましたが、同年12月16日に大阪府堺市の病院で亡くなりました。享年69歳でした。

主なフィルモグラフィ

『本能寺合戦』 : 1908年
『大石山科の別れ』 : 1917年
『大江山酒呑童子』 : 1920年
『忍術三勇士』 : 1920年
『丸橋忠弥』 : 1920年
『石川五右衛門』 : 1921年
『四谷怪談』 : 1921年
『実録忠臣蔵』 : 1921年
『夜討曽我』 : 1923年
『ある敵討の話』 : 1923年
『羅馬の使者』 : 1924年
『春風怨』 : 1924年
『清水次郎長』第一篇・第二篇 : 1924年
『丸橋忠弥』 : 1929年
『恥を知る者』 : 1935年

外部リンク

Ritoku Arashi - IMDb（英語）
嵐璃徳 - 日本映画データベース
嵐璃徳 - allcinema ONLINE


嵐璃徳は、歌舞伎役者としてだけでなく、映画俳優としてもその才能を発揮し、日本の映画史にその名を刻みました。彼の出演した作品は、日本の映画史を語る上で欠かせない重要なものとなっています。

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