嶋田的浦

嶋田的浦の生涯と俳人としての足跡

嶋田的浦（しまだ てきほ、1893年1月22日 - 1950年4月11日）は、日本の著名な俳人であり、彼の本名は襄である。三重県志摩郡的矢村大字的矢、現在の志摩市磯部町的矢に生まれた的浦の俳号は、故郷の的矢に因んだものであり、小さな港（浦）を意識して名付けられたものだ。彼は、兄の嶋田青峰と共に俳句の世界で名を馳せ、特にその詠みの才能は青峰を凌ぐものと評価されている。

学生時代と上京

的浦は地元の三重県立宇治山田中学校を卒業後、上京し東京外国語学校（現在の東京外国語大学）に進学した。この時期、彼は俳句に対する情熱を抱き始め、兄と一緒にその才能を育んでいくこととなる。彼が俳人として本格的な活動を始めるのは、1915年のことである。この年、俳句雑誌『ホトトギス』の3月号に彼の作品が4句入選し、以降は毎月2、3句の作品が同誌に掲載されるようになる。特に、同年の10月号と11月号には合計5句が登載され、彼の実力を広く知らしめることとなる。

職業と俳人活動

1929年、的浦は横浜海上火災保険（後のニッセイ同和損害保険）に就職する。この職場で、彼は同僚の秋元不死男と出会う。この縁がきっかけで、的浦は秋元を俳句の世界へ導く。彼らは昼休みに横浜港を散歩しながら、俳句について語り合うことが多かった。的浦は兄・青峰の主宰する『土上』への投稿を秋元に勧め、その後、秋元は俳句の世界で活躍するようになる。

新俳話会への参加

1934年、的浦は新しい俳句の在り方を模索し、様々な派閥の枠を超えた討論を行う「新俳話会」に参加する。この会の設立には、俳人仲間たちとともに新興俳句の問題を考察し、多様な意見を交わす意義があった。彼の参加は、当時の俳句界での意識の変化を象徴する出来事であった。

編集活動と戦後の活動

1935年からは『土上』の編集を手伝い続け、その活動は新興俳句が圧迫される中でも途切れることはなかった。戦後、的浦は三重県に戻り、山田赤十字病院（現在の伊勢赤十字病院）の事務局長となる。こちらでも、彼は俳句指導に力を入れ、患者たちとともに『みその』という雑誌を創刊した。この雑誌は、三重県における前衛俳句の発展に寄与することになった。

最期と遺された作品

1950年4月、的浦は『みその』に句を発表するが、彼はすでに病床に伏していた。この句は彼の最後の作品となり、その後同月に57歳で壮絶な生涯を閉じた。彼の最期を知った才人・秋元は、「俳句にも死相が出るというのは、ほんとうのような気がした」との言葉を残している。

まとめ

嶋田的浦の功績は、単なる俳人にとどまらず、彼が関わった共同体や活動が後の俳句界に多大な影響を与えたことにある。彼の作品や精神は、未だに多くの人々に愛され、尊敬され続けている。彼の人生は、時代を超えた感受性や文学への情熱が見事に表れたものとなっている。

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