川上弾薬庫

川上弾薬庫：東広島に眠る巨大な弾薬貯蔵庫

川上弾薬庫は、広島県東広島市八本松町宗吉に位置する弾薬庫です。JR山陽本線八本松駅の北側に広がるこの施設は、在日米陸軍秋月弾薬廠第83兵器大隊によって管理されており、東アジア地域における最大規模の弾薬貯蔵能力を誇る施設群の一つとして知られています。

概要

約260ヘクタールという広大な敷地面積を持ち、4万トンもの弾薬を貯蔵できる川上弾薬庫は、その規模において他の弾薬庫を圧倒します。最新の弾薬整備システムや補修工場も併設されており、アメリカ本土から輸送船で呉市広の沖合に運ばれた弾薬が、広弾薬庫を経由してここに貯蔵されることが多くなっています。

地域との関係

しかし、川上弾薬庫の存在は、地域住民との間で複雑な問題を抱えています。弾薬を積んだトラックが周辺道路を頻繁に通行することに対し、安全面への懸念から東広島市は撤去を求めています。一方で、施設内では多くの地元住民が駐留軍等労働者として雇用されており、弾薬輸送時には地元の運送業者が指定されるなど、地域経済への貢献も無視できません。また、東広島市には多額の補償金が支払われており、撤去によってこれらの雇用や経済的利益が失われる可能性も考慮しなければなりません。弾薬の輸送日程やルートは、関連自治体に事前に通知されることになっています。

過去には、ベトナム戦争や湾岸戦争など、数々の紛争において弾薬の供給基地としての役割を果たしました。

沿革

川上弾薬庫の歴史は古く、1942年に旧日本海軍によって建設されました。第二次世界大戦後、米軍に接収され、1957年には一時遊休状態となりましたが、1967年、ベトナム戦争の激化に伴い再び運用が開始されました。2000年からは、不用となった小銃弾などの加熱処理が行われるようになりましたが、2009年には加熱処理の際の騒音問題が発生し、東広島市が調査を行う事態となりました。その後、2014年には中国四国防衛局によって防音工事が実施されています。

川上弾薬庫は、その戦略的な重要性とともに、地域社会との共存という課題を抱えながら、現在も運用が続けられています。

関連項目

弾薬庫
旧日本海軍
在日米陸軍
在日米軍
太平洋戦争

外部リンク

中国新聞 地域と「保全」 - ウェイバックマシン
* 川上弾薬庫 防音工事へ - 中国新聞朝刊、2011年8月18日紙面

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