川上村 (愛媛県西宇和郡)

川上村の概要

川上村（かわかみむら）は、1955年まで愛媛県西宇和郡に存在していた村です。現在の八幡浜市の南部にあたるこの地域は、宇和海と接しており、農業を主な産業としていました。村は昭和の合併により八幡浜市に統合され、現在に至ります。

地理

川上村は、八幡浜市の南部に位置し、宇和海に面しています。地形は庄崎と岡の鼻によって区切られ、東に深く入り込む形で川上湾が形成されているのが特徴です。湾の奥には川名津、上泊、白石といった名前の集落が存在し、これらの地域は海岸線に沿って家々が並んでいます。湾の最奥にある川名津集落にはわずかな平地が広がっていますが、他の集落では沿岸の地形が著しいです。背後にそびえる山々は300m未満と穏やかで、気候条件がかんきつ類栽培に適しています。

地名の由来

川上村の名前は、明治時代に川名津浦と上泊浦が合併したことに由来します。この時、両浦の名前から一文字ずつ取って新たな地名が作られました。

歴史

藩政時代

川上村は元々、宇和島藩の領地として管理されていました。藩内には17の郷が存在しており、川上村の前身である二つの浦は「保内郷」に属していました。1696年には藩域の変更があり、吉田藩に移行しました。

明治時代以降

1889年に町村制が施行され、川名津浦と上泊浦が統合されて川上村が誕生しました。その後、1900年からは北米への渡航者が増加し、密航者も現れました。また、1901年にはウンシュウミカンが導入され、地元の農業に新たな風が吹き込みました。1911年には矢野義弘が打瀬船で渡米するなど、村の若者が新しい土地を目指しました。

昭和初期には製糸や織布産業がピークに達し、1933年には製品出荷のための組合も設立されました。太平洋戦争後は、ウンシュウミカンの栽培が村の主力産業となり、全国の果実品評会で多くの賞を受けるようになり、愛媛のミカンの名産地として名を馳せました。

1955年には、周辺の村とともに八幡浜市に編入され、以降は「八幡浜市川上町」として知られることとなりました。

地域と行政

川上村は川名津と上泊の地域が大字として名称を持ち、後に上泊から白石が分かれました。役場は大字川名津にあり、村の行政機能を果たしていました。

産業

川上村では明治以降、養蚕と並行して農業が盛んでした。特に昭和に入ってからはウンシュウミカンの栽培が強化され、地域の主要な産品となるとともに、銘柄産地としての地位を確立しました。また、製糸工場や織布工場も多く存在し、地域の工業基盤を支えていました。

交通

川上村には鉄道は通っていませんでしたが、海岸沿いの道路が八幡浜市街と結ぶ主要な交通路となっていました。現在もこの道路は重要なルートとなっています。

まとめ

川上村は歴史のある地域であり、農業を中心に発展してきました。合併や地域の変遷を経ながら、今日の八幡浜市の一部としてその歴史を刻み続けています。

もう一度検索