川内村 (広島県)

川内村（広島県安佐郡）

川内村（かわうちむら）は、かつて広島県安佐郡に存在した村です。現在は広島市安佐南区川内に相当する地域にあたります。

地理

村域は、主要な河川である太田川と古川に挟まれた、いわゆる中州の北部に位置していました。この地理的条件は、農業用水の確保などに影響を与えたと考えられます。

人口

1930年（昭和5年）に刊行された『市町村治績録 改訂第2版』に記録されている情報によれば、当時の川内村には478戸の世帯があり、総人口は2,328人でした。

歴史

川内村の歴史は、近代町村制の施行に伴い始まりました。

1889年（明治22年）4月1日：町村制が施行され、それまでの沼田郡に属していた中調子村と温井村が合併。これにより、改めて村として発足し、「川内村」が誕生しました。合併前の旧村名を受け継いだ中調子と温井の二つの大字が置かれています。
1898年（明治31年）10月1日：郡の再編成が行われた結果、村は沼田郡から安佐郡に所属が変更となりました。
同年：この時期には、産業の発展を示す出来事として、高瀬製糸会社が設立されています。
1952年（昭和27年）：地域にとって重要なインフラ整備として、安佐大橋が架けられました。これに伴い、それまで利用されてきた高瀬渡しが廃止されています。
1955年（昭和30年）7月1日：川内村は、同じ安佐郡に属していた八木村および緑井村と合併しました。この合併により新たに佐東町が発足し、川内村はその歴史に幕を閉じ、廃止されました。

地名の由来

「川内」という地名は、古くからこの地域が「川の内五箇ノ荘」と呼ばれていたことに由来するとされています。この「川の内五箇ノ荘」は、古市、中須、東野といった地域を合わせて称された名称でした。

行政

川内村の村長を務めた人物は以下の通りです。

倉本恒三郎
中本道平
住居常三郎
丸林亮助
金本七之助
住居常三郎（再任）
倉本亮吉

産業

村の主要な産業は農業と養蚕でした。特に農業においては、地域の発展に貢献した篤農家が知られています。『大日本篤農家名鑑』によれば、川内村からは倉本氏、横林氏、平田氏、住居氏といった篤農家が記録されています。養蚕も盛んに行われ、前述の高瀬製糸会社の設立は、この地域の養蚕業の活況と関連があると考えられます。

参考文献

本記事の作成にあたっては、以下の資料を参考にしています。

大日本篤農家名鑑編纂所編『大日本篤農家名鑑』大日本篤農家名鑑編纂所、1910年。
日本自治協会編『市町村治績録 改訂第2版』日本自治協会、1930年。
『角川日本地名大辞典 34 広島県』。
『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。

関連項目

* 広島県の廃止市町村一覧

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