沼田郡

沼田郡（ぬまたぐん）とは

広島県（安芸国）に存在した郡であり、現在の広島市の一部を占めていました。その領域は、西区の一部、安佐南区の大部分、そして安佐北区の一部に及んでいました。

郡域

1878年（明治11年）に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の広島市における以下の区域に相当します。

西区の一部（中広町、小河内町、山手町、竜王町、三滝本町、三滝山より北東および上天満町の一部）
安佐南区の大部分（東野・中筋・古市を除く）
安佐北区の一部（太田川以南および安佐町大字小河内）

歴史

古代

古代の沼田郡（ぬたぐん）は、現在の広島県三原市から竹原市にかけての地域を指していました。平安時代末期頃にはほぼ全域が沼田荘となり、郡としての機能を失い消滅。その大部分は豊田郡に編入されました。

現在の沼田郡（ぬまたぐん）にあたる地域は、古代には沼田郡ではなく佐伯郡の東部でした。佐伯郡は平安時代の末に佐東郡と佐西郡に分割されています。

近世・近代

1664年（寛文4年）に佐東郡が改称され、沼田郡（ぬまたぐん）が成立しました。1898年10月1日には高宮郡（旧称・安北郡）と統合し、安佐郡へと移行。この地域は現在、全域が広島市となっています。

近世以降の沿革

明治初年時点では、郡域全域が安芸広島藩領でした。「旧高旧領取調帳」によると、当時の村は以下の通りでした（1町42村）。

広島城下（一部）、江波村、打越村、楠木村、新庄村、長束村、西山本村、東山本村、南下安村、北下安村、西原村、東原村、中調子村、温井村、八木村、緑井村、中須村、大町村、相田村、上安村、高取村、長楽寺村、伴村、大塚村、吉山村、阿戸村、久地村、小河内村、毛木村、後山村、宮野村、筒瀬村、広瀬村、観音村、川田村、船入村、水主町新開、吉島新開、六町目村、国泰寺村、竹屋村、江波新開、白島村

明治4年（1871年）：廃藩置県により広島県の管轄となる。川田村が川添村に改称。
明治11年（1878年）：郡区町村編制法の施行により、広島城下などが広島区として郡から離脱。残りの地域で行政区画としての沼田郡が発足。「沼田高宮郡役所」が高宮郡とともに管轄。
明治22年（1889年）：町村制の施行により、以下の各村が発足（全域が現・広島市）。
三篠村、長束村、山本村、祇園村、西原村、東原村、川内村、八木村、緑井村、安村、伴村、戸山村、久地村、日浦村、小河内村
国泰寺村・竹屋村・江波村・広瀬村が広島市の一部となる。
明治31年（1898年）：郡制の施行により、「沼田高宮郡役所」の管轄区域をもって安佐郡が発足。同日、沼田郡は廃止されました。

行政

沼田・高宮郡長が置かれていました。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 34 広島県』角川書店、1987年
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧

もう一度検索