川喜多和子

川喜多和子：国際的な視点で映画界を牽引した実業家

川喜多和子は、1940年2月1日に東京都で生まれ、1993年6月7日に亡くなった日本の実業家です。彼女は、海外の映画を数多く日本に配給し、日本の映画を海外に紹介したことで知られています。また、俳優・映画監督の伊丹十三の元妻としても知られています。

生い立ちと国際的な経験

川喜多和子は、映画文化に貢献した川喜多長政と、その妻である川喜多かしこの一人娘として生まれました。幼少期は、父の仕事の関係で中国の上海や北京で過ごし、多様な文化に触れました。上海ではバレエを習い始め、第二次世界大戦終戦後、収容所での生活を経て帰国しました。帰国後は、小学校、中学校を経て、バレエ団に入団するなど、芸術への関心を深めていきました。

その後、イギリスやフランスに留学し、バレエや映画について学びました。ヨーロッパ滞在中は、両親と共に各国の映画祭に足を運び、映画に対する見識を深めました。英語は通訳レベル、フランス語、ドイツ語、イタリア語も日常会話レベルで話せるなど、国際的な感覚を身につけていきました。

映画界での活躍

帰国後、川喜多和子は黒澤明監督の助監督を務め、映画制作の現場を経験しました。その後、伊丹十三と結婚しましたが、短編映画の制作を最後に、映画監督としての道は断念しました。しかし、伊丹十三の才能を見抜き、執筆活動を強く勧めました。1966年には、自主上映団体シネクラブ研究会を設立し、会長に就任。映画の配給や上映活動にも積極的に関わりました。

その後、フランス映画社に入社し、副社長として海外の映画配給に携わりました。彼女は、海外の良質な映画を日本に紹介するだけでなく、日本の戦後派監督の作品を海外に紹介するなど、国際的な映画文化交流に貢献しました。映画関係者との交流も大切にし、来日した監督や俳優を自宅に招き、手料理でもてなしました。映画に対する情熱と深い知識、そして国際的な人脈は、多くの映画関係者から信頼を得ていました。

鈴木清順問題共闘会議

1968年には、鈴木清順監督作品の上映をめぐり、日活側との間でトラブルが発生しました。この問題に際し、川喜多和子は中心となって映画関係者らと共闘会議を結成し、デモ活動を行うなど、映画監督の権利を守るために尽力しました。

人物像

川喜多和子は、映画に対する情熱と行動力、そして国際的な視野を持った人物でした。親友であるスクリプターの野上照代や、映画評論家のおすぎなど、多くの映画関係者から愛されていました。また、ザ・スパイダースの楽曲の英作詞を手掛けるなど、幅広い才能を発揮しました。

死と遺産

川喜多和子は、1993年6月7日にくも膜下出血で亡くなりました。彼女の死は、国内外の映画関係者に大きな衝撃を与え、多くの弔文が寄せられました。彼女の映画への情熱と国際的な活動は、今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

川喜多和子は、単に映画を配給するだけでなく、映画文化を愛し、映画人を育てた人物でした。彼女の存在は、日本の映画史において、重要な役割を果たしました。

もう一度検索