川岸近衛

川岸近衛（かわぎし このえ）は、1938年1月19日に生まれ、2022年5月21日に亡くなった、日本の著名なジャーナリストです。彼は読売新聞社で長年にわたり活躍し、論説副委員長という要職を務めました。また、証券取引等監視委員会の委員としても、その専門知識と経験を生かしました。

人物と経歴

川岸氏は、1961年に一橋大学経済学部を卒業しました。学生時代は、宮崎省吾、平尾光司、飯沼健真、酒井武史らと共に学生運動に積極的に参加し、一橋新聞の編集長も務めるなど、そのリーダーシップとジャーナリズムへの関心を示していました。

大学卒業後、読売新聞社に入社し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。1983年には経済部次長に昇進し、1988年には論説委員、1992年には論説副委員長に就任しました。これらの役職を通じて、経済、社会、国際関係など、幅広い分野でその見識を発揮しました。

1998年には、証券取引等監視委員会の委員に任命され、金融市場の公正性と透明性の確保に尽力しました。2004年には、三菱自動車工業の企業倫理委員会委員にも就任し、企業の社会的責任と倫理観の向上にも貢献しました。その他、税制調査会特別委員、資金運用審議会専門委員、海運造船合理化審議会専門委員、航空審議会委員など、数多くの公職を歴任しました。

北海道支社勤務時代には、札幌市立山の手養護学校の生徒から王貞治選手宛のファンレターを託されたことをきっかけに、同校への慰問活動を始めました。この活動は長年にわたり継続され、ゴールデンスピリット賞へと繋がる、感動的なエピソードとして知られています。

著作活動

川岸氏は、ジャーナリストとしての活動に加え、数々の著作も発表しています。これらの著作を通じて、国際情勢、経済問題、社会問題などに関する深い洞察を提供しました。

著書

『ヨーロッパ再発見』（読売新聞外報部編, 共著）読売新聞社 1978年
『日本の国際収支 : 構造変化と均衡への道』教育社 1979年
『巻き返すアメリカ経済 : 現地取材班リポート』（読売新聞経済部著）読売新聞社 1981年
『日章丸事件 : イラン石油を求めて』（読売新聞戦後史班編, 共著）冬樹社 1981年
『ルポ・アメリカNow』（読売新聞アメリカ取材団著）読売新聞社 1982年
『環太平洋の時代』（読売新聞経済部編, 共著）読売新聞社 1985年

訳書

* デビッド・レイ『首相はスパイ? : 英秘密情報機関の陰謀』読売新聞社 1990年

これらの著作からもわかるように、川岸氏は、国際的な視点を持ちながら、日本の経済や社会の課題にも真摯に取り組んだ、優れたジャーナリストでした。

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