平尾光司

平尾光司：多岐にわたる分野で活躍した実業家

平尾光司氏は、1939年生まれの実業家であり、日本の金融業界、教育界で重要な役割を果たしました。日本長期信用銀行（長銀）での要職を歴任後、長銀総合研究所の社長、信金中央金庫地域・中小企業研究所長、そして学校法人昭和女子大学の理事長など、幅広い分野で活躍しました。

学生時代から社会活動へ

東京都出身の平尾氏は、1961年に一橋大学社会学部を卒業。学生時代は、宮崎省吾氏、川岸近衛氏、飯沼健真氏、酒井武史氏らと共に学生運動に参加し、社会問題に関心を抱いていました。また、高島善哉ゼミでは、資本主義形成期の「キャプテンズ・オブ・インダストリー」の社会思想を研究しました。大学の同期には、後に一橋大学学長となる石弘光氏がおり、親交を深めました。

日本長期信用銀行でのキャリア

大学卒業後、平尾氏は日本長期信用銀行（現SBI新生銀行）に入行。調査部でキャリアをスタートさせ、1966年にはペンシルベニア大学経済学部大学院でフルブライト研究員として学びました。1972年には、ハーバード大学ハーバード・ビジネス・スクールで企業金融プログラムに参加し、金融分野での専門知識を深めました。

長銀では、業務開発部調査役、融資二部副長、国際金融部副長、ニューヨーク副支店長など、様々な役職を歴任。企画部長、企業開発部長を経て、1995年には取締役副頭取に就任しました。ニューヨーク支店長時代には、グリーンキャピタルマーケットやピアーズなど、金融ベンチャー企業の買収を積極的に進めました。

ベンチャー支援と経営への参画

平尾氏は、1980年代初頭の第2次ベンチャーブームの際には、神奈川県の産業政策に関与し、ベンチャー企業の支援にも尽力しました。企業開発部長として、ベンチャーキャピタルの設立支援や、ソフトバンクのような創成期の企業の支援にも携わりました。

長銀総合研究所や社会基盤研究所では、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンやイーバンク銀行（現楽天銀行）といったベンチャー企業の支援も行いました。また、日本ベンチャー学会の設立にも関わり、理事や監事として学会運営にも貢献しました。

教育分野での貢献

2002年、平尾氏は専修大学経済学部教授に就任し、同時に学校法人昭和女子大学の理事にも就任。2004年には専修大学都市政策研究センター長を務めました。2011年には、創立者人見東明の家系外から初めて昭和女子大学の理事長に就任。少子化に対応するため、教育、研究に加え、就職力や財務力の強化を掲げ、大学経営の透明性を向上させるなど、改革を推進しました。2017年には昭和女子大学名誉理事に就任しました。

その他役職と著作

平尾氏は、タワーレコード取締役、住友信託銀行監査役、イーバンク銀行監査役など、数多くの企業の役員や監査役を歴任しました。また、立命館アジア太平洋大学大学院客員教授や信金中央金庫地域・中小企業研究所所長なども務めました。

著書には、『資本交流と国際金融』、『海洋開発産業』、『ベンチャー・ビジネス』などがあり、金融、産業、ベンチャービジネスに関する幅広い分野で執筆活動を行いました。また、スティーヴン・ヴォーゲル『新・日本の時代』やジリアン・テット『愚者の黄金』など、海外の著書も翻訳し、日本に紹介しました。

平尾光司氏は、金融業界での豊富な経験と知識を生かし、ベンチャー企業の支援や大学経営に貢献しただけでなく、著作活動を通じて社会に幅広い影響を与えた人物です。

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