川島廣守

川島廣守：官僚から野球界の重鎮へ

川島廣守氏（1922年2月27日-2012年12月9日）は、日本の官僚であり、プロ野球界においても重要な役割を果たした人物です。福島県出身、中央大学法学部卒業後、内務省に入省しました。海軍主計大尉として終戦を迎え、戦後は警察庁で要職を歴任。警視庁公安部長や警察庁警備局長を務め、佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争への対応などにも携わりました。

その後、内閣調査室長、内閣官房副長官（事務方）と要職を歴任。内閣官房副長官時代には、「三公社五現業」のストライキ権問題において、三木武夫首相に対し、スト権付与に批判的な立場を取り、専門委員懇談会を主導。スト権付与を事実上阻止する役割を果たしました。

退官後は、日本鉄道建設公団の副総裁を経て総裁に就任。しかし、不正経理問題の発覚により、わずか7ヶ月で辞任することとなりました。その後も、行政苦情救済推進会議構成員や人事院参与などを務め、行政分野での経験を生かし続けました。

川島氏のキャリアは、官僚としての経験にとどまりません。1984年から1998年までセントラル・リーグ会長を務め、野球界に貢献。14年間に渡る会長在任期間中、審判技術の向上や、野球の国際化にも尽力しました。また、交流戦の実施については消極的な姿勢を示した点や、大洋ホエールズの中山裕章投手によるわいせつ事件への対応など、様々な議論を巻き起こしました。

1998年には、第10代プロ野球コミッショナーに就任。6年間コミッショナーを務め、アマチュア野球との関係修復に尽力。社会人野球への元プロ選手の入団条件緩和や、高校生を対象としたシンポジウム「夢の向こうへ」の実現など、大きな成果を残しました。福岡ダイエーホークスのスパイ行為疑惑への対応や、シドニーオリンピックへのプロ野球選手派遣の承認なども、コミッショナーとしての重要な業績です。池永正明氏の処分解除要求については、強い拒否姿勢を示しました。

渡邉恒雄氏（読売新聞グループ本社社長）との昵懇な関係は、コミッショナーとしての独立性への懸念を招くこともありました。セ・リーグ会長からのコミッショナー就任は、従来の官界や学界出身者とは異なるキャリアパスでもありました。

コミッショナー退任後は静かに余生を過ごしましたが、2012年12月9日、急性心不全のため90歳で逝去しました。官僚としての卓越した手腕、そしてプロ野球界への多大なる貢献により、川島廣守氏は日本の歴史に名を刻む人物と言えるでしょう。彼の功績は、日本の行政と野球界双方に大きな影響を与え続け、長く記憶されることでしょう。

主要な功績と評価

川島廣守氏の功績は多岐に渡りますが、特に以下の点が評価できます。

官僚として: 内閣調査室長、内閣官房副長官としての経験、そして「三公社五現業」ストライキ権問題における手腕は、高度経済成長期における日本の政治・経済に大きな影響を与えたと評価できます。
セントラル・リーグ会長として: 審判技術向上への尽力、野球の国際化促進への貢献、また、難しい問題にも毅然と対応した姿勢は、長きに渡る会長在任期間の大きな成果として挙げられます。
* プロ野球コミッショナーとして: アマチュア野球との関係改善、プロ野球選手の社会貢献活動の推進、そして組織の不正行為に対する厳格な対応は、プロ野球界の健全な発展に貢献したと評価できます。

一方で、セ・リーグ会長時代における交流戦への消極的な姿勢や、渡邉恒雄氏との関係など、批判的な意見も存在します。しかし、これらの点も、彼の複雑なキャリアの一部として理解する必要があるでしょう。川島廣守氏の功績と影響は、現在も日本の社会に色濃く残っています。

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