佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争

佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争

佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争は、1968年1月に日本の佐世保港でアメリカ海軍の空母エンタープライズの寄港に反対するために行われた抗議運動を指します。この運動は、初めてエンタープライズが寄港することに対し、雇われた革新政党、団体、地域住民などが集まり大規模な反対運動を展開しました。この運動は、反戦や反核の意識が強く、時には激しい衝突が発生したことから「エンプラ騒動」や「エンプラ事件」とも呼ばれています。

事件の始まり

反対運動のきっかけは、1967年9月にアメリカ政府が日本政府に対してエンタープライズの寄港を要請したことで始まりました。日本政府もこれに合意し、1968年1月19日にエンタープライズは佐世保港に入港しました。これに対して、反対派の学生たちは「佐世保港がベトナム戦争の軍事拠点になる」と主張し、反米運動として広がりを見せていきました。

警察側もこれに備えて、過去の羽田事件の教訓を基に、催涙ガスを使用した排除手段を用いる方策を採りました。

抗議活動の経過

抗議運動は、1月15日に約3,500人が集まる反対集会から始まりました。無許可のデモを行った中核派の学生たちは、警察と衝突し、多くが逮捕されました。1月16日には、博多駅で同じく新左翼の学生たちが機動隊と衝突し、1名が起訴される事態にまで発展しました。

1月17日には、さらに多くの人々が集まり、学生たちは警察の警告を無視して米軍基地に向かって進むなど、阻止線を突破しようと試みました。しかし、警察の強力な反対により多くの学生が逮捕され、負傷者も出ました。1月18日には市民グランドでの大規模集会が開かれ、4万7000人が参加する中で、引き続き暴力的な衝突が続きました。

1月21日には再度抗議が行われ、中核派らが米軍基地へ侵入し、若干の逮捕者を出すことになりました。最終的にエンタープライズは1月23日に出港しますが、この運動期間中には多くの人々が集まり、佐世保市内には大きな影響を及ぼしました。

事件への反響

この闘争は新左翼の運動を前面に押し出しつつ、アメリカに対する強いナショナリズムの表れとも受け取られました。参加者の多くは反戦、反核の意識を持っており、様々な市民から支持を受けたり、逆に反発を受けたりしました。後年の証言からは、当時の学生たちの行動が国内での多様な意見を象徴するものであったことが分かります。

司法の場での影響

この運動を通じて、最高裁判所では多くの重要な判例が出されました。特に、プラカードを持っていたことが問題にされた飯田橋事件では、「用法上の凶器」として認定される判決が1977年に下されました。一方で、博多駅における事件では過剰警備が理由で無罪判決が下され、警察の対応に対する疑問も生じました。

結論

佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争は、学生運動の象徴とも言える大規模な抗議活動でした。アメリカ軍に対するナショナリズムと反戦、反核の意識が交錯し、運動は多くの人々の心に深く刻まれることとなりました。この事件は、その後の運動や世論に対しても大きな影響を与える結果となりました。

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