川島重信

川島重信（かわしま しげのぶ）

川島重信は、生没年不詳の江戸時代の浮世絵師で、京都を拠点に活動しました。西川祐信の門人であったと推測され、号として柳花堂、一々堂を用いています。活動時期は享保から寛保年間にかけてで、版本の挿絵や肉筆画の制作を行いました。

来歴

川島重信は京都の川原町通に居住していたと伝えられています。同時代に京都で活動していた絵師、川島叙清とは、何らかの関係があったのではないかと考えられています。

出光美術館には、「日本繪師柳芲堂毫」の落款がある「立姿美人図」が所蔵されています。この作品に記された「柳芲堂」は、川島重信の別号であるとされています。この作品は、川島重信の肉筆画の代表例として貴重な資料です。

作品

川島重信は、版本の挿絵と肉筆画の両方を手掛けています。以下に主な作品を挙げます。

『世中百首絵抄』：荒木田守武著、享保7年（1722年）刊行の版本。この書籍の挿絵を担当しました。
『絵本吉野川』：寛保4年（1744年）刊行の版本。こちらも挿絵を手掛けています。
「炬燵の男女図」：絹本着色の肉筆画で、ボストン美術館に所蔵されています。この作品には「川嶋重信筆」の落款と、印文不明の白文方印が確認できます。川島重信の筆致と色彩感覚を堪能できる作品です。

これらの作品から、川島重信は版本の挿絵だけでなく、肉筆画においても高い画力を有していたことが窺えます。特に「炬燵の男女図」は、当時の風俗や人物の様子を生き生きと描いており、彼の画業を知る上で重要な作品と言えるでしょう。

参考文献

川島重信に関する研究や資料は、以下の文献で確認できます。

日本浮世絵協会編『原色浮世絵大百科事典』（第2巻）大修館書店、1982年
出光美術館編『出光美術館蔵品図録　肉筆浮世絵』平凡社、1988年　※251頁
辻惟雄監修『ボストン美術館肉筆浮世絵』（第二巻）講談社、2000年

これらの文献を通じて、川島重信の生涯や作品についてより深く理解することができます。特に、『出光美術館蔵品図録　肉筆浮世絵』には、彼の作品である「立姿美人図」が掲載されており、貴重な資料となっています。

川島重信は、その生涯や詳細な活動時期については不明な点も多いものの、残された作品から確かな画力と、当時の文化を伝える貴重な存在であることがわかります。今後の研究により、新たな発見があることが期待される絵師の一人です。

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