川崎製鉄神戸硬式野球部

川崎製鉄神戸硬式野球部

川崎製鉄神戸硬式野球部は、かつて兵庫県神戸市に拠点を置いて活動した社会人野球の強豪チームです。日本野球連盟に加盟し、企業の代表として都市対抗野球大会や社会人野球日本選手権大会といった全国の舞台で数々の熱戦を繰り広げました。その歴史は1952年に始まり、地域野球界において重要な存在感を示しましたが、母体の都合により1994年をもって惜しまれながら活動を終えました。

チームの起源は、同じ川崎系の川崎造船所の硬式野球部に遡ります。その後、川崎製鉄の事業再編に伴い、神戸市にあった葺合工場を母体として、1952年に「川崎製鉄神戸硬式野球部」として新たに発足しました。神戸を拠点とするチームとして、地元に根ざした活動を展開しました。

創部から20年以上を経て、チームは全国レベルでの実力をつけ、1978年には都市対抗野球大会と社会人野球日本選手権大会の両主要全国大会に初めて同時に出場を果たしました。これを機に、川崎製鉄神戸は兵庫県の社会人野球を牽引する存在へと成長します。特に、1980年代には全国大会での成績が向上し、1985年の都市対抗野球ではベスト8に進出する快挙を達成しました。翌1986年には、社会人野球日本選手権大会でチーム史上最高のベスト4まで勝ち進むなど、全国でもその名を轟かせました。

しかし、栄光の歴史にも終わりが訪れます。チームの活動を支えてきた母体である川崎製鉄葺合工場が、1996年までに閉鎖されることが決定したためです。これに伴い、硬式野球部も存続が困難となり、1994年のシーズンをもって活動を停止することが決まりました。

活動最終年となった1994年も、チームは最後まで奮闘を見せました。投手陣の中心には、後にプロ入りする豊田次郎選手や寺本比呂文選手を擁し、この年4年ぶりとなる都市対抗野球大会に出場しました。そして、チームの活動を締めくくる最後の大会となった社会人野球日本選手権大会では、再びベスト4に進出するという有終の美を飾りました。この年のドラフト会議では、前述の豊田選手がオリックス・ブルーウェーブに、寺本選手が西武ライオンズにそれぞれ指名され、プロ野球選手となりました。残りの部員たちは、同じ川崎製鉄グループの硬式野球部である千葉（現在のJFE東日本硬式野球部）や水島（現在のJFE西日本硬式野球部の一部）に移籍し、チームとしての歴史に幕を下ろしました。

川崎製鉄神戸硬式野球部からは、多くの才能が輩出されました。プロ野球界に進んだ選手としては、1987年に横浜大洋ホエールズに入団した岡本透投手、そしてチーム最終年の1994年にプロ入りした豊田次郎投手、寺本比呂文投手が特に知られています。また、選手としてだけでなく、後に指導者として活躍した五島卓道氏も在籍していました。

主な大会成績

都市対抗野球大会 出場6回、最高ベスト8（1985年）
社会人野球日本選手権大会 出場9回、最高ベスト4（1986年、1994年）
* JABA高砂市長杯争奪大会 優勝1回（1984年）

関連チームとして、同じ川崎製鉄系の硬式野球部であったJFE東日本硬式野球部（旧：川崎製鉄千葉硬式野球部）や、JFE西日本硬式野球部（川崎製鉄水島硬式野球部などが統合して誕生）が挙げられます。

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