川本昭雄

川本 昭雄

川本 昭雄（かわもと あきお、1927年11月4日 - 2004年2月11日）は、日本の都市計画家、造園家です。特に東京都における公園緑地の整備、保全、そして運営管理の分野において、その生涯を通じて多大な貢献を果たしました。

東京の都市景観において、川本氏の業績は多岐にわたります。例えば、首都東京における多くの記念事業に伴う公園の造成計画に深く関与しました。また、都市計画制度における公園緑地の位置づけを見直す取り組みを主導し、多摩川、荒川、江戸川といった都内の主要河川の河川敷における緑地の保全・整備を推進しました。急速な宅地化が進んだ地域においては、貴重な丘陵地の緑地保全に尽力し、市民に身近な里山公園の整備も手掛けました。さらに、東京湾臨海部の新たな公園整備計画の策定や、筑波研究学園都市の移転に伴う跡地の公園化計画にも携わっています。東京都の長期的な視点に立った公園緑地整備計画の策定と推進においても、その手腕を発揮し、数多くのプロジェクトを実現させました。

経歴

東京大学農学部農学科を卒業後、1951年に東京都建設局公園緑地部に入職した川本氏は、以来、公園行政の道を歩みます。若き日には、1957年に北村信正氏が中心となって発足した「遊び場の研究会」に参加し、子どもたちの遊び場環境に関する研究にも取り組みました。東京都建設局では、公園緑地部技術課計画第一係長、西部公園緑地事務所井の頭自然文化園管理事務所長、南部公園緑地事務所工事課長などを歴任しました。1967年には建設省都市局都市計画課長補佐として中央官庁での勤務も経験しています。東京都に戻ってからは、公園緑地部都市公園課長、計画課長を経て、1977年7月には公園緑地部長に就任し、東京都の公園緑地行政のトップとして辣腕を振るいました。

公務のかたわら、後進の育成にも力を注ぎ、1964年から1968年にかけて東京大学農学部で、また1978年から1991年にかけて東京農業大学で非常勤講師を務めました。また、造園分野の専門家団体においても重要な役割を担い、1963年から日本造園学会の理事を、1977年からは監事を務めました。その他、社団法人日本公園緑地協会の理事なども歴任しています。

1983年に東京都を退職した後も、その情熱は衰えることなく、同年6月からは財団法人東京都公園協会に活躍の場を移しました。常務理事、専務理事として、都立公園の運営管理体制の強化と改善に中心的な役割を果たしました。都民の緑への関心を高めるため、東京都緑の図書館の開設にも深く関わっています。1998年には、長年の功績が認められ、日本造園学会の名誉会員に推挙されました。

表彰

川本氏の業績は高く評価され、複数の賞を受賞しています。駒沢公園計画における貢献に対し、1964年度に日本都市計画学会石川賞（設計部門）を受賞。1980年には第6回日本公園緑地協会北村賞、1993年には建設大臣賞都市公園功労賞を受賞しています。

主な著書

『蘆花恒春園』郷学舎、1981年
『隅田公園』郷学舎、1981年
『道路緑化の設計・施工』（共著）山海堂、1977年
『造園技術必携〈1〉造園計画と設計』（共著）鹿島出版会、1987年
『造園技術必携〈3〉造園施設の設計と施工』（共著）鹿島出版会、1995年
『祖庭 長岡安平 明治の造園設計家』

川本昭雄氏は、東京都における公園緑地の形成と発展に長年貢献し、その多岐にわたる活動を通じて、日本の都市緑化行政および造園分野の発展に大きな足跡を残しました。彼の築いた公園や緑地は、今もなお多くの人々に憩いと安らぎを提供しています。

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