川村茂久

川村茂久の生涯と業績

川村茂久（かわむら しげひさ）は、1901年3月21日に山梨県で生まれた日本の外交官及び地方政治家であり、甲府市の市長を務めました。彼の人生は、外交界でのキャリアと市政での活動が融合した興味深いものでした。

幼少期と教育

川村は、山梨県東山梨郡七里村、現在の甲州市で父親の広瀬久政と、母親のさととの間に生まれました。彼は七里尋常小学校を卒業後、旧制日川中学校、さらに第三高等学校を経て、東京帝国大学法学部を卒業しました。法学を学び、高等文官試験に合格し、1924年に外務省に入省しました。

外交官としての経歴

外務省に入った川村は、1926年にワシントンの日本大使館に配属され、続いてロサンゼルスの日本領事館に勤務しました。その後は外務省アジア局やスイス・ベルンの日本公使館での勤務を経て、興亜院の調査官としても活躍しました。これらの経歴により、彼は国際的な視野を養い、多様な国々の地方制度についての理解を深めていきました。

甲府市長としての活動

1947年、川村は山梨県知事選挙に出馬しましたが、落選。その後、同年の甲府市長選挙に立候補し、選挙では青柳欣一との決選投票が行われました。青柳が途中で辞退したため、川村は繰り上げ当選し、10月10日より甲府市長に就任しました。

市長職においては未経験でしたが、彼は自身の外交的経験を生かして市役所の機構改革を進め、復興局の再編や新しい貿易観光企画室の設立など、積極的な施策を打ち出しました。しかし、これらの改革は市議会としばしば対立を引き起こしました。特に、1948年に提案した議案が審議未了となった際には、専決処分を行うことで市議会との対立が激化しました。

この結果、「川村市長解職請求書」が提出され、署名が過半数に達したため、彼は在任1年2か月で市長を辞任することになりました。なお、彼が行った専決処分は後に取り消されています。

著作

川村は政治活動だけでなく、作家としての一面も持っていました。彼の著作には、1936年に発刊された『ふるさと 改宗日記』、同じく『二つの都市』、さらに『旅ごろも』があり、いずれもカトリック中央書院から出版されています。これらの著作は、彼の人生観や社会に対する考えを反映した作品として、後世に残されています。

最後に

川村茂久は、外務省での長いキャリアを基盤に、地方政治にも貢献しました。市長としての活動は短期間であったものの、彼の改革思想や取り組みは、甲府市の発展に少なからず影響を与えました。1980年8月6日に79歳で亡くなるまで、彼は日本の外交と地方政治の両方において重要な役割を果たしました。彼の生涯は、日本の近現代史における一つの重要な物語として、人々の記憶に刻まれています。

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