川越博

川越 博（かわごえ ひろし）

川越 博（かわごえ ひろし）は、大正から昭和期にかけて活躍した日本の新聞記者、政治家、そして秘書です。特に戦後、衆議院議員として活動し、後に三木武夫の側近として重要な役割を果たしました。1911年（明治44年）2月17日に宮崎県北諸県郡都城町（現在の都城市）に生まれ、1968年（昭和43年）11月9日にその生涯を閉じています。

生い立ちと初期のキャリア

宮崎県都城市で育った川越博は、東京の青山学院に進学し、1932年（昭和7年）に青山学院高等学部英語師範科を卒業しました。卒業後、彼は報知新聞社に入社し、政治部記者としてキャリアをスタートさせます。ジャーナリストとして政界の動向を取材する中で、政治に対する関心を深めていったと考えられます。新聞記者としての活動に加え、戦前・戦中にかけては東亜研究所嘱託、日本興亜同盟書記、輿論科学研究所理事、日向青年同志会常任委員など、様々な団体の役職を歴任しました。

政治家としての歩み

第二次世界大戦後、川越は政治家を志します。1946年（昭和21年）4月に行われた戦後初の衆議院議員総選挙である第22回総選挙に、宮崎県全県区から日本協同党の公認候補として出馬しました。この選挙では当選を果たせませんでしたが、同年7月、同選挙区選出の甲斐政治議員の辞職に伴い、繰上補充によって衆議院議員となりました。

翌1947年（昭和22年）4月の第23回総選挙では、区割り変更後の宮崎県第2区から国民協同党公認候補として立候補し、再選を果たします。これにより、彼は衆議院議員として連続二期在任することとなりました。議員活動においては、国民協同党の中央委員、青年部長、出版部長といった要職を務め、党の運営や広報活動に深く関わりました。特に党の広報を担当する中で、後に総理大臣となる三木武夫との関係を構築し、その信頼を得ていったことは、彼のその後のキャリアにおいて重要な意味を持ちました。

しかし、続く1949年（昭和24年）1月の第24回総選挙では落選。その後も、第26回総選挙（改進党公認）、第27回総選挙（日本民主党公認）と連続して衆議院選挙に挑みましたが、いずれも議席を回復することはできませんでした。

政界引退後の活動と秘書としての活躍

衆議院議員の職を離れた後も、川越は様々な分野で活動を続けました。地元である都城の都城育英会の理事を務めるなど、教育分野にも貢献しています。また、文化放送の総務局嘱託としても勤務しました。そして、彼のキャリアの晩年において特筆すべきは、かつて国民協同党で共に活動した三木武夫の秘書を務めたことです。

三木武夫が通商産業大臣、外務大臣といった要職を歴任する際、川越はそれぞれの大臣秘書官に就任し、三木大臣の活動を側近として支えました。これは、政治家時代の両者の間に築かれた信頼関係の深さを示すものであり、川越自身も再び政治の中枢に近い立場で、その経験と能力を発揮する機会を得たと言えます。

新聞記者として社会情勢を見つめ、政治家として国政に携わり、そして要職を担う大臣を支える秘書として活動するなど、川越博は多岐にわたる分野で活躍した人物でした。その生涯は、激動の昭和期における日本の政治と社会の一端を映し出しています。

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