工業技術研究院 (台湾)

財団法人工業技術研究院（ITRI）

財団法人工業技術研究院（略称：工研院、英文略称：ITRI）は、台湾の科学技術発展における重要な拠点です。台湾最大の産業技術研究開発機構であり、半導体産業のパイオニアとしての役割を担ってきました。本記事では、工研院の概要、沿革、産業への貢献、そして著名な出身者について詳しく解説します。

概要

工研院は、台湾最大の産業技術研究開発機構として、台湾の半導体産業を牽引してきました。その歴史は古く、1936年に日本統治下の台湾総督府所属「天然ガス研究所」として設立されたことに遡ります。第二次世界大戦後、中華民国経済部資源委員会に接収され、名称変更を経て、1973年に複数の研究所が合併し、現在の工研院が誕生しました。

工研院は、台湾の産業発展と水準向上に積極的に協力しており、地域産業の研究開発力との連携を重視しています。2005年からは、地域産業発展政策と科学技術連携強化のため、台南と南投に分院を設置し、研究開発を推進しています。

沿革

工研院の歴史は、台湾の産業技術発展の歴史そのものです。

1936年：台湾総督府所属「新竹天然ガス研究所」として設立
1945年：中華民国経済部資源委員会に接収、「新竹天然気研究所」に改称
1946年：中国石油公司新竹研究所に改称、日本海軍第六燃料廠本部資産・研究開発中心を編入
1954年：経済部直属組織に昇格、「聯合工業研究所」に改称
1973年：「聯合技術研究所」、「聯合鉱業研究所」、「金属工業研究所」を合併し、財団法人工業技術研究院が設立

半導体産業の礎

1976年、米国RCA社との技術提携により半導体製造技術を導入し、1980年には台湾初の4インチウェハ製造企業である聯華電子（UMC）を設立。その後、台湾積体電路製造（TSMC）や世界先進積体電路（VIS）などの半導体製造企業を次々と創出し、台湾半導体産業の隆盛に大きく貢献しました。また、1983年にはIBM互換PCを開発し、台湾国内業者への技術移転を通じてPC産業の発展を促しました。

多岐にわたる技術開発

半導体以外にも、炭素繊維複合材料、自動化技術、ノートパソコン、エンジンなど、多岐にわたる分野で研究開発を推進し、台湾産業の発展に貢献。近年では、グリーンエネルギー、バイオテクノロジー、AIなどの分野にも注力し、持続可能な社会の実現を目指しています。

産業への貢献

工研院は、台湾産業の発展に多大な貢献をしてきました。

先端技術の研究開発による産業成長と経済価値の創造
人材育成、知的財産の増加
企業の設立・育成
技術サービスと技術移転

40年以上にわたり、140名以上の産業CEOを育成し、240社以上の企業を設立、2万件以上の特許を取得するなど、台湾経済の発展に大きく寄与しています。

著名な出身者

工研院は、数多くの優秀な人材を輩出してきました。

張忠謀（TSMC創設者）
曹興誠（UMC元董事長）
史欽泰（資訊工業策進會元董事長）
蔡明介（Media Tek董事長）

これらの出身者は、台湾の産業界に大きな影響を与え、台湾経済の牽引役として活躍しています。

分野横断型・未来創出型科学技術研究開発

スマートライフ: 生活を豊かにする技術開発
ヘルスケア: 医療品質と健康向上に貢献
持続可能な環境: 省エネ技術や再生可能エネルギー開発

受賞歴

工研院は、数多くの国際的な賞を受賞しています。

米R&D 100 Awards
独レッドドットデザイン賞
独iFデザイン賞
ウォールストリート・ジャーナル紙テクノロジーイノベーション賞

これらの受賞は、工研院の技術力の高さを証明するものです。

まとめ

工研院は、台湾の産業技術発展において極めて重要な役割を果たしてきた研究機関です。半導体産業の育成から、多岐にわたる分野での技術開発、そして未来を見据えた研究開発まで、台湾経済の発展に大きく貢献しています。今後も、台湾の科学技術を牽引する存在として、さらなる発展が期待されます。

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