工程設計

工程設計：製品製造の青写真

工程設計とは、製品を製造するための詳細な手順、必要な材料、設備、時間、人員などを設計する作業です。かつては主に大量生産を行う製造業の中核をなす工程でしたが、近年ではサービス業や建設業など、幅広い分野でその重要性が高まっています。

工程設計の目的と概要

工程設計では、工程設計書と呼ばれる設計書を作成します。この設計書には、製品製造に必要なあらゆる要素が詳細に記されます。工程設計書は、単なる手順書ではなく、製造コスト、生産時間、利益率などを決定づける重要な文書です。そのため、製造業においては、工程設計は企業の収益に直結する極めて重要なプロセスと言えるでしょう。

工程設計の目的は、単に工数を計算することではありません。コスト、設計、投資という3要素の関係を最適化し、方程式化するところにあります。つまり、最適な工程設計書を作成することが、工程設計の究極的な目標です。

重要な点として、同じ条件下であっても、工程設計書の内容は、設計担当者の経験や知識、さらには製造現場の作業員の熟練度によって大きく変動します。熟練した技術者は、より効率的でコストを抑えた工程設計を実現できるのです。

工程設計の歴史

「工数」という概念が初めて体系的に用いられたのは、ヘンリー・フォードによる大量生産システムの確立時と言われています。フォードのT型フォードの生産ラインにおける効率的な工程設計は、現代の工程設計の基礎となっています。

工程設計の具体例

ある製品の部品取り付け工程を例に、工程設計のプロセスを見てみましょう。

表1（作業見積もり）では、図面から得られる部品の数、重量、寸法などの数値に基づいて作業時間を単純に積み上げ算出しています。この方法では、図面が確定すれば作業時間は固定され、柔軟な調整ができません。仮に原価目標から工数を10分以下に設定している場合、表1の作業時間は目標を達成できません。

表2（工程設計：初期段階）では、作業手順に沿って項目が並べられています。この段階では、類似作業が重複していることが分かります。

表3（工程設計：治具改良）では、部品Aと部品Bを同時に取り付けられる治具を導入することで、作業時間を短縮しようと試みます。治具のセット・リセット作業が減ることで工数は減少しますが、それでも目標の10分以内には達しません。

表4（工程設計：レイアウト変更）では、さらに作業場のレイアウトを変更し、作業者が部品Aと部品Bを同時に扱えるように工夫します。これにより、部品のセット時間が短縮され、最終的に工数は9.5分となり、原価目標を達成することができました。

この例からもわかるように、工程設計は、単なる数値計算だけでなく、治具の改良、作業場のレイアウト変更など、多角的な視点と工夫が必要となります。工程設計担当者は、工程設計書の作成だけでなく、設計に基づいた設備の変更や人員配置などの調整も担う責任を負います。

関連事項

生産技術

もう一度検索