左翼同盟 (フィンランド)

フィンランドの左翼政党：左翼同盟の歩み

左翼同盟(Vasemmistoliitto)は、フィンランドにおける社会主義政党として1990年にヘルシンキで結党されました。複数の左派政党が統合して誕生した同党は、フィンランド議会（エドゥスクンタ）や欧州議会に議員を送り込むなど、フィンランド政治に一定の影響力を持っています。しかし、その歴史は、党内対立と連立政権への複雑な関与によって特徴づけられます。

複雑な結党と内紛

左翼同盟は、フィンランド人民民主連合、民主オルタナティブ、フィンランド女性民主連合、そしてフィンランド共産党といった、異なる社会主義的色彩を持つ政党の統合によって誕生しました。この多様な思想的背景は、結成以来、党内における激しい対立を生み出す要因となっています。党内からは、社会民主党や、1997年に結成されたフィンランド共産党（スターリン主義的なタイストイストグループを母体とする）といった他の政党への移籍も発生しています。

2005年には、当時の党書記長が社会民主党との合流を模索するも、党内からの強い反発を受け、計画は頓挫しました。翌2006年には、長年続いた親ソ派との対立が原因で党首が辞任。こうした内紛は、左翼同盟の安定的な発展を阻害する大きな課題となっています。

連立政権参加と離脱

党内対立が続く一方、左翼同盟は、社会民主党や国民連合党などの中道右派政党と連立政権を組む時期もありました。1995年から2003年にかけては社会民主党政権に閣僚を送り込み、2011年から2014年にかけては国民連合党政権にも閣僚を輩出しました。しかし、特に国民連合党とのイデオロギー的な隔たりは大きく、連立政権への参加をめぐって党内が分裂する事態も発生しました。2014年には、社会福祉政策の削減に反対して、左翼同盟は連立政権から離脱しました。

欧州議会選挙での躍進と大統領選挙

連立政権への参加と離脱を繰り返す中、左翼同盟の勢力は一進一退を繰り返しました。しかし、2014年の欧州議会議員選挙では、大きく得票数を伸ばして議席を獲得しました。当選したメルヤ・キュッロネン議員は、2019年まで欧州議会議員として活躍し、2018年には大統領選挙にも立候補しました。

イデオロギーと変化

左翼同盟は、反欧州連合の立場を明確に示す一方、近年は環境問題への関心を高めています。従来の共産主義的イデオロギーが衰退する中、環境主義的な勢力との連携を模索するなど、イデオロギー的な変化も試みているといえます。

歴代党首

左翼同盟の歴代党首は、その党内対立の歴史を反映するように、頻繁な交代劇を繰り返してきました。

クラエス・アンデルソン (1990年 - 1998年)
スヴィ=アンネ・シーメス (1998年 - 2006年)
マルッティ・コルホネン (2006年 - 2009年)
パーヴォ・アルヒンマキ (2009年 - 2016年)
* リー・アンデルソン (2016年 - )

まとめ

左翼同盟は、フィンランド政治において重要な役割を果たしてきた社会主義政党です。しかし、その歴史は党内対立、連立政権への複雑な関与、そしてイデオロギー的な変化によって特徴付けられています。今後も、フィンランドの政治情勢における左翼同盟の動向から目が離せません。

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