巨人・大鵬・卵焼き

巨人・大鵬・卵焼き

『巨人・大鵬・卵焼き』は、昭和中期に流行した日本の言葉で、特に子どもたちに人気のあるものを指す表現です。この言葉は、プロ野球の巨人軍（読売ジャイアンツ）、大相撲の横綱・大鵬、そして日本の家庭料理として親しまれた卵焼きが組み合わさって生まれました。5636年代の日本における代表的な文化と食生活を背景に成立したこのフレーズは、当時の世相を反映しています。

背景と時代

この言葉が登場したのは日本の高度経済成長期であり、特に昭和40年代（1965年 - 1974年）です。この時期、国民は経済の発展を敏感に感じており、日常生活にも変化が見られました。大鵬は1960年に初優勝、その後1971年に引退するまでに数々の記録を打ち立てました。一方、巨人軍は1950年代から強豪チームとして君臨し、1960年代には日本シリーズでの9連覇（V9）を達成しました。これらのスポーツ界での活躍とともに、世代を問わず広く親しまれた卵焼きが同列に並ぶことで、子どもたちにとっての「好きなもの」のシンボルとしての意味合いが強まりました。

言葉の由来

この流行語の発案者は、作家でありその後経済企画庁長官も務めた堺屋太一です。1961年度の経済報告の記者会見において「子供たちはみんな、巨人、大鵬、卵焼きが好き」と語ったことがきっかけとなり、次第に広まっていきました。元々は若手官僚たちの間での冗談から始まったもので、意外な人気を博したと言われています。

各要素の特徴

巨人

読売ジャイアンツ（巨人）は、当時の川上哲治監督のもとで堅実な野球を展開し、1960年代には日本シリーズでの9連覇を成し遂げました。その強さは、当時の日本の政治状況—特に自由民主党政権の安定感とも重なる部分があり、時代の象徴として見ることができます。

大鵬

大鵬は1956年に入門し、1960年には初優勝を果たしました。その後も数々の優勝を重ね、一時期は「柏鵬時代」と呼ばれるほどの人気を誇ります。しかし、大鵬は「巨人と一緒にされること」を嫌っていたといわれています。彼自身、努力の人であることを強調し、天才視されることには抵抗感を持っていたようです。自伝では、「巨人・大鵬・卵焼き」の言葉の持つ意味について自らの相撲が素人受けしたからだと分析しています。

卵焼き

卵焼きもまた、1960年代の家庭料理として欠かせない存在でした。鶏卵は、その価格の安定さから「物価の優等生」と呼ばれ、特に東京では甘い卵焼きが子どもたちに好まれるようになりました。これによって、卵焼きは家庭料理として確固たる地位を築いたのです。

その他の使われ方

「巨人・大鵬・卵焼き」と対をなす大人向けの流行語や、その後のバリエーションも存在します。たとえば、「江川・ピーマン・北の湖」など、特定の事象に対する揶揄を含む形で使われることもあり、文化や時代の流れを反映しています。

まとめ

このように『巨人・大鵬・卵焼き』という言葉は、昭和時代特有の社会情勢や文化背景を象徴する重要な表現となりました。日常の中に浸透したこのフレーズからは、日本のスポーツ史や食文化が見えてくるのです。

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