巨大マゼラン望遠鏡

巨大マゼラン望遠鏡：宇宙の謎を探る次世代望遠鏡

近年、宇宙の解明において、宇宙望遠鏡と地上望遠鏡の連携観測が重要な役割を果たしています。その最先端をいくのが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と連携して観測を行うことを主目的とした巨大マゼラン望遠鏡（GMT）です。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機ともいえるこの望遠鏡は、宇宙の進化や天体の形成に関する未解明の謎に迫るべく開発されました。

高性能を誇るGMT

GMTは、8.4メートル径の円形鏡7枚を組み合わせた、口径24.5メートルの巨大な合成鏡を主鏡としています。この主鏡は、低膨張ガラスであるE6という特殊な素材で作られています。その集光面積は368平方メートルにも及び、ハッブル宇宙望遠鏡をはるかに凌駕する、10倍もの分解能を実現する見込みです。大気の揺らぎによる観測の歪みを補正する補償光学システムも備え、鮮明な画像を得ることが期待されています。

観測波長は、大気による吸収が少ない近赤外線と中間赤外線帯です。この波長帯は、宇宙初期の星や銀河、ブラックホール、暗黒物質、原始惑星系円盤といった、宇宙の謎を解き明かす上で重要な情報を多く含んでいます。GMTは、これらの天体の詳細な観測を行い、宇宙の進化や構造を解明するための重要な役割を果たすことが期待されています。

国際協力による建設

GMT計画は、オーストラリア、アメリカ、韓国など、世界各国の大学や研究機関が協力して進められている国際共同プロジェクトです。Astronomy Australia Limited、オーストラリア国立大学、カーネギー研究所、ハーバード大学、韓国天文宇宙科学研究院、スミソニアン学術協会、テキサスA&M大学、アリゾナ大学、シカゴ大学、テキサス大学オースティン校など、多くの機関が参加し、それぞれの専門性を活かした開発が進められています。

チリでの建設と今後の展望

GMTの建設地は、チリ共和国のラスカンパナス天文台に決定されました。2018年に着工し、2029年には試験観測開始を目指しています。完成すれば、世界最高性能の地上望遠鏡の一つとなり、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と連携した観測により、宇宙の起源や進化に関する新たな知見が得られると期待されています。他の巨大望遠鏡計画、例えばTMT計画やOWL望遠鏡計画などとも技術的な情報交換や協力関係を構築することで、より効率的な開発と運用を目指していくと考えられます。

GMTによる観測は、宇宙における様々な未解明な現象の解明に大きく貢献すると期待されており、人類の宇宙観に革命を起こす可能性を秘めています。今後、GMTからの新たな発見が、宇宙に関する私たちの理解を深めてくれることでしょう。

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