ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）は、NASAが中心となり開発が進められている最先端の赤外線観測用宇宙望遠鏡です。2021年12月25日に打ち上げられ、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として位置づけられています。この望遠鏡は、宇宙の誕生や初期の星々、系外惑星の研究を目的としています。

名称の由来

JWSTの名称は、NASAの第2代長官ジェイムズ・E・ウェッブに由来しています。彼は1961年から1968年までNASAの長官を務め、アポロ計画の基礎を築くなどアメリカの宇宙開発に重要な役割を果たしました。当初は「次世代宇宙望遠鏡」と名付けられていましたが、2002年に現在の名称に変更されました。

JWSTの目的

JWSTの主な任務は、宇宙誕生からおよそ2億年後の最初の星々を観測することです。これは赤方偏移によって波長が変化した光の観測を通じて行われます。JWSTは高解像度の赤外線画像を撮影する能力を持ち、系外惑星の観測にも期待が寄せられています。

運用と軌道

JWSTは、ESA（欧州宇宙機関）とNASAが共同で運用しています。打ち上げ後、JWSTは太陽と地球のラグランジュ点L2に配置されます。この位置は、地球から約150万キロメートル離れた場所で、光の干渉を避けるための理想的な環境です。この距離にあるため、万が一のトラブルがあっても修理に行くことができません。

構造

JWSTは、質量6.2トンで、ハッブル宇宙望遠鏡のほぼ半分の重さです。主鏡はベリリウム製で直径約6.5メートルと非常に大きく、ハッブルの2.5倍の直径を持っています。この主鏡は、18枚の六角形のセグメントで構成されており、各セグメントは宇宙空間で展開されます。これにより、優れた観測性能を発揮します。

望遠鏡の設計

JWSTの主鏡は金の蒸着が施されており、赤外線の観測には最高の反射能力を持っています。遮光板は5層から成り、人の髪の毛よりも薄い材料で作られています。これにより、望遠鏡の周囲の不要な光から守られ、冷却が行われます。

打ち上げまでの経緯

JWSTは、1996年からNASA、ESA、CSA（カナダ宇宙庁）が協力して開発を行ってきました。しかし、開発は遅れ、当初は2011年の打ち上げが予定されていましたが何度も延期され、最終的には2021年に実現しました。コストも initialの見積もりより膨らみ、開発に88億ドルもの費用がかかりました。

打ち上げ

JWSTは2021年12月25日にアリアン5ロケットで打ち上げられ、打ち上げ後すぐに展開作業が始まりました。主鏡や副鏡、遮光板が複雑に折りたたまれていたため、これらの展開は慎重に行われました。

科学的成果

JWSTは、最大1日57GBもの科学データを収集できる能力を持ち、初期の観測結果として複数の銀河団や天体のデータが公開されました。それにより、宇宙の新たな側面を明らかにすることが期待されています。特に、2022年には銀河団や星雲の画像が公開され、世界中の科学者から注目を浴びています。このように、JWSTは宇宙観測に革新をもたらす期待の望遠鏡です。

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