巴里マカロンの謎

『巴里マカロンの謎』の紹介

『巴里マカロンの謎』は、2020年に創元推理文庫から刊行された米澤穂信の短編集であり、著者の人気シリーズである「小市民」の番外編です。本作では、主人公・常悟朗と小佐内が高校1年生の時期に体験するさまざまな出来事が描かれ、スイーツをテーマにした幻想的でありながらミステリアスな物語が展開されます。

概要

本作は、表題作の「巴里マカロンの謎」を始め、秋桜との交流を描いた「紐育チーズケーキの謎」や「花府シュークリームの謎」、さらに「伯林あげぱんの謎」という短編が収録されています。これらは連作短編形式で、一つ一つの物語が関連しているのが特徴です。また、各作品にはスイーツを通じた謎解きが用意され、読者を引き込む魅力があります。

作中、主人公たちは名古屋にあるパティスリーの新装開店に訪れるのですが、そこで出会った古城秋桜との交流が物語の中心となります。古城晴臣という有名パティシエの娘である彼女との関わりが、常悟朗の心にどのような影響を与えるのかが見所でもあります。

各短編の内容

巴里マカロンの謎

高校の文化祭が近づくある日、常悟朗は小佐内から頼まれ、名古屋にある新しい「パティスリー・コギ」へ向かいます。店内で注文したマカロンが不自然に増え、常悟朗はどこで間違いが起きたのか考え始めます。ついには、4つのマカロンの中に隠された金の指輪が発見され、彼らの探求は始まります。

紐育チーズケーキの謎

別の日、高校の文化祭で再び秋桜に出会った小佐内は、常悟朗を連れて学園祭に出かけますが、意図せぬ事故から小佐内が拉致される事件が発生します。常悟朗は、彼女が何かを隠そうとしていることに気付き、その真相を追究することになります。

伯林あげぱんの謎

常悟朗は新聞部からの依頼で、部員たちが取り組んでいる揚げパンの特集記事執筆のための事件を解決することになります。部員の対立を通じて、奇妙な揚げパンのトリックが明らかになり、物語がクライマックスを迎えます。

花府シュークリームの謎

物語の終盤では、秋桜の無実を証明しようとする常悟朗の姿が描かれています。飲酒の疑いをかけられた彼女を救うため、過去の写真や状況を元に、彼は真実を追い求めることになります。これにより、彼と小佐内の絆がさらに深まることになります。

結び

米澤穂信の作品は、ミステリーと青春の要素を巧みに組み合わせた内容が魅力です。この短編集でも、スイーツを通じた人間関係や謎解きが、読者を楽しい体験へと誘います。ベストセラーとなった「小市民」シリーズの外伝とも言えるこの作品を是非手に取ってご覧ください。

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