巻き替え (相撲)

巻き替え（まきかえ）

概要

巻き替えとは、相撲における特有の技術であり、主に試合中に用いられます。この技は、自分の上手を放し、下手に差し替える動作を指します。その名称は、糸車で糸を紡いだ後の糸巻きを取り替える際の手の使い方に由来するとされています。時折、「巻き返し」と誤用されることもあるため、それは注意が必要です。

技の特徴と利点

巻き替えを行うことで、相手に対して優位性を得ることができます。具体的には、相手の脇に腕をこじ入れてその腕を返したり、体を起こすことによって、相手に圧力をかけることが可能となります。また、巻き替えの成功のポイントは、相手の注意をどれだけ揺さぶれるかにあります。例えば、巻き替えを狙っている間に、反対の腕で別の技を仕掛けることで、相手の意識がそちらに向いている隙を狙って素早く巻き替えをします。

ただし、巻き替えを行う際は体が反るため、相手が自分のまわしを引きつけるチャンスを与えてしまうリスクがあります。この技術は迅速に行う必要があり、その難易度から、大相撲の土俵上で頻繁に見られるものではありません。もしこの技を失敗すると、自らの上手がさらに遠くなるだけでなく、相手に簡単に起こされる状況になり、結果的に自身にとって大きな不利をもたらすことになります。このため、巻き替えは安易に試みられるものではありません。

対抗策

巻き替えを避けるための方法は幾つかあります。例えば、脇を固めたり、腕を返すなどの技術を用いることで、巻き替えを防ぐことが可能です。また、相手が巻き替えを狙った際に、前に出るという戦術も有効です。この戦術は、自分の姿勢を低く保っている状態からは実行できず、巻き替える側を持ち上げざるを得ない状況を生むため、重心が浮き上がってしまいます。こうした体勢では、相手の出足を止めることが難しくなりますので、巻き替えを狙って攻める的確なタイミングを得るための方法と言えます。

巻き替えに優れた力士

歴史的に見ても、もろ差しを得意とする力士には巻き替えの技術に長けた者が多いです。名人と称された力士としては、幡瀬川や鶴ヶ嶺がその一例です。現代においては、横綱や大関の力士の中で特に巻き替えが上手な力士として北の湖や白鵬が挙げられます。北の湖はその巧さとともに、技の使用頻度も際立っていました。

結論

巻き替えは相撲における重要な技術であり、相手との駆け引きやタイミングが求められる奥深い戦術です。成功させれば試合の流れを一変させる可能性がありますが、同時に失敗のリスクも抱えています。相撲の魅力の一部は、このような高度な技術の競い合いにあると言えるでしょう。

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