巻き落とし

巻き落としは、大相撲の決まり手の一つで、廻しを取らずに、相手の体を内側から抱え込み、体を捻りながら横方向に倒す技です。

概要

この技は、力士が相手の体勢を崩し、自分の有利な状況を作り出すために用いられます。 相手の重心を崩し、バランスを失わせることで、比較的容易に倒すことが可能になります。

歴史

巻き落としは、明治時代にはすでに存在していた古い決まり手です。明治時代末期から大正時代初期にかけて活躍した関脇・浪ノ音健藏は、166cm、79kgという当時としては小柄な体格ながら、この巻き落としを得意とし、幕内に定着しました。

近年では、2001年3月場所13日目に大関・武双山が横綱・貴乃花に、翌5月場所14日目にも同じく武双山が貴乃花に巻き落としを決めています。 特に5月場所でこの技を受けた貴乃花は右膝半月板を損傷し、千秋楽には強行出場して優勝決定戦で武蔵丸を破り優勝を果たしたものの、その後長期休場を余儀なくされました。

2015年5月場所千秋楽には、東十両4枚目の里山が東十両11枚目の石浦に、2021年初場所12日目には、西小結の御嶽海が西前頭4枚目の玉鷲に、そして2024年初場所13日目には、東前頭2枚目の翠富士が西前頭12枚目の妙義龍に巻き落としを決めています。

類似の決まり手

巻き落としと類似した決まり手として、突き落としや引き落としがあります。これらの技も、相手の体勢を崩して倒すという点で共通していますが、巻き落としは特に相手を抱え込んで捻るという動作が特徴です。

巻き落としのポイント

巻き落としを成功させるためには、以下の点が重要です。

相手の体勢をよく見て、重心の不安定なところを見つける。
素早く相手の体を抱え込む。
* 相手の体を捻る際に、自分の体をしっかりと安定させる。

巻き落としは、力士の技量と判断力が試される、奥深い決まり手と言えるでしょう。

近年の事例

近年でも、巻き落としは時折見られる決まり手であり、その威力は健在です。 特に、体格差のある対戦や、相手の出足を止めたい場合に有効な技として用いられます。

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