浪ノ音健藏

浪ノ音 健藏 (1882-1967)

浪ノ音 健藏（なみのおと けんぞう）は、1882年3月14日に青森県青森市で生まれた力士で、本名は鎌田 健藏です。彼は高砂部屋に所属し、その優れた技術で角界に名を残しました。身長は166cm、体重は79kg。彼の最高位は西関脇です。

経歴

幼い頃から相撲に親しんでいた浪ノ音は、土地相撲を通じてその技を磨いていましたが、1897年の夏に高砂部屋が巡業に訪れた際に、綾浪の紹介で入門を決意しました。1898年1月には初土俵を踏み、1906年1月には新入幕を果たします。入幕から短期間のうちに小結に昇進し、当時大関であった荒岩亀之助を引き落としで破るという快挙を成し遂げました。1907年5月には関脇に昇進し、その後は中堅として活躍しました。

1914年5月、浪ノ音は幕下に陥落し引退を決意。引退後は11代振分を襲名し、振分部屋を創設します。彼は力士の育成に尽力し、大ノ高などの後輩を育てました。また、勝負検査役としても活動し、47年間角界に貢献しました。1961年1月、78歳で定年退職し、その後は青森に移住しました。

晩年の生活

青森に移住した浪ノ音は、宿禰神社の社務を行いながら、角界の生き字引としての役割を果たしました。晩年には好角家との交流を楽しみ、相撲界に対する深い知識と経験を基に、後進の指導にも力を入れていました。1967年11月25日、彼は85歳でこの世を去りました。

競技人生の中のエピソード

浪ノ音の競技人生の中には、さまざまなエピソードがあります。特に1911年1月に発生した新橋倶楽部事件では、力士側の代表として協会との定期交渉に当たりました。また、1914年の高砂襲名争いにおいて、彼は綾川を推薦しましたが敗れ、最終的に出羽海一門に転属しました。これらの経験は、彼のキャリアに大きな影響を与えました。

技術と取り口

浪ノ音の取り口は、前捌きが特徴的であり、右前ミツや左ハズ、そして右差しからの一気の寄りを得意としていました。さらに、巻き落としや蹴返しなどの速攻相撲も持ち味で、観客を魅了したことでしょう。彼の技術は競争が激しい角界においても一目置かれる存在でした。

成績

彼の成績には、幕内での16場所で55勝56敗30休19分、通算20場所では65勝59敗30休23分が記録されています。これらの成績は彼の実力を物語っており、角界における彼の位置づけをさらに強固にしました。

改名歴

浪ノ音は、1899年の1月場所からその名で参加し、1900年1月には岩木山と改名。またその後、再び浪ノ音の名で取った記録が残っています。彼の名前は、今も多くの相撲ファンにとって特別な意味を持つことでしょう。

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