市原刑務所

市原刑務所：交通事犯専門の矯正施設

市原刑務所は、千葉県市原市に位置する法務省矯正局東京矯正管区所属の刑務所です。その特徴は、交通事犯を犯した受刑者を主に収容している点にあります。そのため、「交通刑務所」として広く知られています。

所在地とアクセス

市原刑務所は、千葉県市原市磯ケ谷に所在しており、最寄りの駅はJR内房線五井駅です。五井駅から小湊鉄道に乗り換え、上総山田駅で下車後、タクシーで約5分、徒歩の場合は約50分となります。

収容分類級と収容定員

市原刑務所では、受刑者をI級、YA級、A級の3つの収容分類級に分類しています。収容対象は、禁錮刑の受刑者、若年初犯者、初犯者（70歳以下）で、交通事犯を犯した者です。ただし、飲酒運転など、社会的な影響が大きい交通事犯の場合は、府中刑務所などの一般刑務所に送られる場合もあります。収容定員は463名です。

歴史

市原刑務所の歴史は、1945年9月に豊多摩刑務所（後の中野刑務所）の受刑者約900名を習志野市の旧陸軍廠舎跡地に移送したことに始まります。「習志野農村建設隊」と称し、土地の開墾に従事させました。その後、名称変更や移転を経て、1969年3月、現在の市原市に移転し、「千葉刑務所市原刑務支所」となりました。同年11月には本所に昇格し、「市原刑務所」となりました。2001年9月には全国各地で刑が確定した交通事犯受刑者の収容を開始、2002年6月には危険運転致死傷罪受刑者の収容も開始しました。その後も、収容対象の変更や施設の改築など、様々な変化を経てきました。2006年には開放的施設に指定され、2012年には全体改築工事が完了しています。

組織

市原刑務所の組織は、所長の下に総務部、処遇部、医務課の2部1課体制となっています。総務部は庶務、会計、用度などを担当し、処遇部は受刑者の処遇や企画を担当します。医務課は受刑者の健康管理を担当しています。

設備と施設

市原刑務所の敷地内には、「つぐないの碑」と呼ばれる慰霊碑があります。これは、交通事故の犠牲者を供養するために、地元の民間支援者によって1978年に建立されました。受刑者たちはここで、犠牲者の冥福を祈ります。

受刑者の居室は、単独寮、準開放寮、開放寮、希望寮の大きく4つの建物に分かれています。単独寮は独居房、準開放寮と開放寮はそれぞれ異なる規則の下で共同生活を送る施設です。希望寮は、仮[[釈放]]直前の受刑者や、模範的な受刑者が収容される施設です。一般的な刑務所と比較して、市原刑務所の受刑生活は比較的緩やかなものとなっています。

刑務作業と食事

市原刑務所では、様々な刑務作業が行われています。以前は味噌や醤油の製造も行っていましたが、2012年の改築工事で工場設備を閉鎖したため、現在はシイタケの栽培が主な作業となっています。生産されたシイタケは、即売会などで販売されています。食事は、単独寮と外部工場の受刑者を除き、食堂で提供されます。隣接する市原学園の食事も一括調理しているため、食中毒などへの対策が重要です。

最新の状況

近年、市原刑務所の事故件数は減少傾向にあり、収容人員も減少しています。2020年11月末時点の入所者は140人弱で、平均年齢は39.4歳、全員が初犯の男性です。服役期間は平均2年4ヶ月で、4割強が被害者を死亡させている交通事故を起こしています。

まとめ

市原刑務所は、交通事犯に特化した刑務所として、社会復帰に向けた様々な取り組みを行っています。交通事故の犠牲者への追悼と、受刑者の更生支援という、相反する要素を併せ持つ施設と言えるでしょう。

もう一度検索