市川團十郎 (12代目)

十二代目市川團十郎

十二代目市川團十郎（いちかわ だんじゅうろう、生年1946年8月6日 - 没年2013年2月3日）は、歌舞伎界の重鎮であり、日本の伝統文化を象徴する存在でした。屋号は成田屋、定紋は三升、替紋は杏葉牡丹で、正五位の位階を持ち、本名は堀越夏雄です。日本芸術院の会員でもあり、その幅広い演技力とカリスマで、数多くのファンに愛されました。

團十郎は、名門の十一代目市川團十郎の長男として生まれ、父の早逝を受けて自らの道を模索しました。若い頃は父の境遇から舞台出身者としてのプレッシャーを感じていたものの、過去の体験を経て、段々と歌舞伎への情熱を再燃させました。1946年に初舞台を踏むと、さまざまな役柄でその独特の存在感を発揮しました。

彼の舞台キャリアは、1953年の『大徳寺』での初舞台から始まります。この公演により、家族の名は重いと意識するようになり、一時は舞台から離れたこともありましたが、1962年に父と共に出演した『助六』での体験を経て、改めて役者としての道を選びました。1963年には、團十郎門下の勉強会で初めて演じた『勧進帳』の弁慶役が評価され、以降のステップアップにつながります。

団十郎のスタイルは、その骨太でスケールの大きな演技にありました。歌舞伎十八番をはじめ、荒事や世話物、義太夫狂言など、多様なジャンルで活躍しました。彼の登場は舞台の雰囲気を一変させ、その重厚かつ愛嬌に満ちた演技が観客を魅了しました。特に、観客とのコミュニケーションが優れており、舞台上での迫力だけでなく、観る者との感情の交流も大切にしていたことが伺えます。

私生活では、彼は性格がおっとりしており、友人から「おっとり君」と呼ばれるほどでした。幼少期は風邪を引きやすい体でしたが、ラグビーを始めたことで体力をつけ、気持ちも前向きに。スポーツへの関心もあり、草野球や競馬観戦など多岐にわたる趣味を楽しみました。特に競馬では、自身のレース予想が好評でした。

また、宇宙にも関心を持ち、天体観測を趣味としていました。このことがきっかけで、日本人宇宙飛行士とも親交を深め、宇宙関連のイベントにも参加するなど、多彩な人脈を築いていきました。

健康に関しては、晩年に白血病を発症したものの、その間も舞台に立ち続ける姿勢は、役者としての卓越した意志の表れでした。治療を受けながらもパリ公演を果たし、舞台復帰を果たします。2013年に肺炎で死去するまで、彼の影響は歌舞伎界にとどまらず、日本文化全般にも深い影響を与えました。

彼の人生やキャリアは、歌舞伎ファンや日本文化の愛好者たちにとって、教訓や感動を与えるものであり、彼の功績は永遠に語り継がれることと思います。彼の名跡は、息子の十三代目市川團十郎によって引き継がれ、伝統を今に伝えています。

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