市川治

市川 治（いちかわ おさむ）

市川治は1936年6月21日生まれ、2009年1月2日に亡くなった日本の俳優・声優です。埼玉県熊谷市出身で、主にフリーとして活動し、新日本企画の代表を務めました。

生涯

市川の子供時代は、戦後の混乱の中で育ちました。戦争の影響で十分な教育が受けられない状態でしたが、自宅にあった膨大な本を読み漁ることで知識を深めていきました。特に小学4年生のころには、同級生に向けて童話を語ることで、その才能を開花させ、学芸会の主役にも選ばれました。

中学時代には放送演劇部に加入し、埼玉県立熊谷高等学校の演劇部でも活動していました。高校卒業後、父の会社の倒産によって大学進学を諦め、貿易商社で働くことになりますが、演技への情熱が冷めることはありませんでした。彼は後に俳優養成所に通い始め、さまざまな職を経て1955年に劇団森の会に入団します。

1956年には劇団泉座に移籍し、翌年にはテアトル・エコーに移籍しました。この時期から、彼はアニメや吹き替えに取り組み始め、声優としてのキャリアを築きました。1965年には『スーパージェッター』で主役を果たし、声優ブームの先駆けとなります。その後、多くの人気アニメや特撮で美形キャラクターや敵役を務め、特にダミ声の悪役が多く存在する中で、美形の悪役像を確立しました。

市川は、TBS放送劇団やアーツビジョンなど様々な劇団で活動し、最終的にはフリーランスとして業界に貢献しましたが、1980年代後半には喉を痛め、休業を余儀なくされる時期もありました。この間に英語教材の制作にも携わり、新日本企画を設立しました。後進の育成にも力を入れ、地域活動にも積極的に参加していました。

2009年に入ると、彼の健康は著しく低下し、入浴中に体調を崩し心不全により亡くなりました。享年72歳で、遺作は同年3月稼働の業務用ゲーム『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム NEXT』内のノリス・パッカード役でした。

特徴・人物

市川はハイバリトンの声を持ち、幅広い年齢層のキャラクターを演じてきました。彼が特に印象深かった役は、アニメ『ろぼっ子ビートン』のノーベルさんだと言われています。また、彼はウルトラマンや仮面ライダーなどのヒーロー役やボスキャラクターも多く演じており、各種メディアに残る影響も大きいです。

趣味には歴史旅行や映像制作があり、特技としては野球を挙げています。市川が好きな言葉は「失敗を恐れるな、冒険をせよ」であり、彼のクリエイティブな精神を反映しています。

エピソード

市川は、悪役の声を出す際、同世代の声優に敵わないと感じ、自身の演技を知的な悪役に特化させていました。彼はセリフの重視を心がけ、イントネーションにも気を使った結果、現場は彼のセリフの多い役を増やしました。また、特に重要なキャラクターのアフレコの際には、心身の準備を整えるために入浴をしたエピソードなども語られています。

『仮面ライダー』では藤岡弘、が失踪した際に仮面ライダー1号の代行アフレコを務めるなど、彼の才能は多方面にわたり認められていました。

市川はアニメ『超電磁マシーン ボルテスV|超電磁マシーン_ボルテスV』で演じたハイネル役が思い出深く、特にその叫び声には特別なこだわりを持っていました。また、東京都町田市の鶴川団地に長年住み続け、地域との関わりを大切にしていました。

後任

市川の死後、彼が演じた役を引き継いだ人物がいます。これにより、彼の残した遺産であるキャラクターたちは、今もなお新たな声を与えられ続けています。市川治の影響は、声優界において決して忘れられることはないでしょう。

もう一度検索