市村竹之丞

市村竹之丞（いちむら たけのじょう）は、歌舞伎役者の名跡です。この名跡は、初代から六代目まで存在し、それぞれの時代で歌舞伎界に貢献しました。以下に、各代の竹之丞について詳しく解説します。

初代 市村竹之丞

初代竹之丞は、上州出身の村山又三郎（贈初代市村宇左衛門）の門人であり、1628年から1686年まで活躍しました。1652年から1664年までは座元（劇場の経営者）も務めました。彼は村山座の興行権を買い取り、これを市村座と改名しました。初代竹之丞は、後に三代目市村宇左衛門を襲名しています。

二代目 市村竹之丞

二代目竹之丞は、初代の甥で養子として迎えられました。1654年から1718年まで活動し、1664年から1679年までは座元を務めました。延宝7年（1679年）に座元を弟に譲り、出家しました。二代目竹之丞は、贈四代目市村宇左衛門ともされています。

三代目 市村竹之丞

三代目竹之丞は、五代目市村宇左衛門の女婿にあたります。1681年から1698年まで活動し、1687年から1698年まで座元を務めました。実父は市村座の芝居茶屋である菊屋善兵衛です。三代目竹之丞は、贈七代目市村宇左衛門ともされています。

四代目 市村竹之丞

四代目竹之丞は、三代目の弟であり、1699年から1762年まで活動しました。1703年から1762年まで座元を務めました。実父は三代目と同様に市村座の芝居茶屋・菊屋善兵衛です。寛延元年（1748年）に「宇左衛門」を「羽左衛門」と改めました。四代目竹之丞は、後に八代目市村宇左衛門、さらに八代目市村羽左衛門を襲名しています。

五代目 市村竹之丞

五代目竹之丞は、十一代目市村羽左衛門の次男です。1812年から1851年まで活動し、1821年から1851年まで座元を務めました。初めは市村豊松、次に市村亀之助と名乗り、後に十二代目市村羽左衛門を襲名し、その後五代目市村竹之丞となりました。

六代目 市村竹之丞

六代目竹之丞は、十五代目市村羽左衛門の外孫であり、1929年から2011年まで活動しました。父は四代目中村富十郎、母は舞踊家の初代吾妻徳穂です。初めは四代目坂東鶴之助を名乗り、後に六代目市村竹之丞となり、その後五代目中村富十郎を襲名しました。

屋号と紋

市村竹之丞の名跡は、屋号も代々受け継がれてきました。初代と二代目の屋号は不詳ですが、三代目から五代目までは菊屋、六代目以降は橘屋を名乗っています。定紋は根上り橘（ねあがり たちばな）、替紋は渦巻（うずまき）です。

市村竹之丞の名は、歌舞伎の歴史において重要な役割を果たし、それぞれの時代でその名を輝かせました。各代の竹之丞の活躍は、今日の歌舞伎の発展に大きく貢献しています。

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