市村羽左衛門 (17代目)

十七代目市村羽左衛門の人生と業績

十七代目市村羽左衛門（1916年7月11日 - 2001年7月8日）は、日本の伝統的な舞台芸術である歌舞伎の世界において、非常に重要な存在でした。彼の本名は坂東衛であり、様々な名跡を次々と襲名しながら、堅実な芸風で観客を魅了しました。

初舞台と襲名の歴史

市村羽左衛門は、1921年に帝国劇場の『名月八幡祭』において、三代目坂東亀三郎を襲名して初舞台を踏みました。その後、彼は歌舞伎の世界で着実に地位を築き、1935年には歌舞伎座で『音羽獄だんまり』に出演し、七代目坂東薪水を襲名しました。その後、1942年には七代目坂東彦三郎に、1955年には十七代目市村羽左衛門へと至ります。彼の襲名は常に重要な意義を持ち、後進の役者たちにも多大な影響を与えました。

重要な受賞歴と評価

彼の業績は非常に評価され、多くの賞を受賞しました。1978年には紫綬褒章を、1984年には日本芸術院賞を受賞し、1988年には勲四等旭日小綬章を受章しました。また、1990年には重要無形文化財保持者として人間国宝に認定され、多くの人々にその才能を認められました。1991年には日本芸術院の会員にも選ばれ、1999年には文化功労者として顕彰されました。

代表的な役柄と演技スタイル

市村羽左衛門の演技は、派手な表現を持たないものの、深い感情と静かな迫力によるものでした。彼は特に時代物や世話物において模範的な演技を展開し、晩年には「歌舞伎の生き字引」とまで称されました。彼の当たり役には、『近江源氏先陣館』の佐々木四郎兵衛盛綱や、『仮名手本忠臣蔵』の大星由良助などがあります。

終焉と遺産

2001年に彼は85歳でこの世を去りましたが、彼の演技や教育した後進たちによって、その影響は今でも歌舞伎の世界に息づいています。彼の誕生した日である7月11日は、歌舞伎ファンにとって特別な日となっています。また、彼は青山霊園に眠り、今も多くの人々に追悼されています。

家族と子孫

彼の芸の遺伝は、彼の家族にも引き継がれています。長男は八代目坂東彦三郎、次男は二代目市村萬次郎、三男は四代目河原崎權十郎として、舞台に立つ役者たちとなっています。彼の存在とその影響は、歌舞伎界において決して消えること無く受け継がれていくことでしょう。

まとめ

十七代目市村羽左衛門は、日本の伝統芸能としての歌舞伎に多くの貢献をし、その独自の表現方法は後の世にも影響を与え続けています。彼の名跡は、今後も歌舞伎界で受け継がれ、その存在を記憶し続けることでしょう。

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