市河三喜

市河三喜の生涯と業績

市河 三喜（いちかわ さんき、1886年2月18日 - 1970年3月17日）は、日本の英語学者であり随筆家として知られています。東京大学名誉教授、文学博士であり、日本学士院の会員としても活躍しました。彼は日本人初の東京帝国大学英文科の教授となり、英語教育と学問の発展に大きく貢献しました。彼の名前に冠された市河三喜賞も、英語学の新人賞として設けられています。

幼少期からの学び

市河は1886年、東京府下谷区に書家の家系に生まれました。幼少期から書道や漢文を学び、その後英語にも興味を持ちました。1898年には東京府立尋常中学校に入学し、同学の仲間とともに日本博物学会の設立に関わるなど、多岐にわたる学問の探求を行いました。彼は英文学に深い関心を抱き、後に英語学を専攻することになります。

東京帝国大学での教育と研究

1906年、東京帝国大学文科大学言語学科に入学し、英語学を本格的に学び始めます。1912年には研究に向けた初の著作『英文法研究』を発表し、言語使用に基づいた文法の科学的な考察を試みました。この著書は日本の英語学の基盤を築いた重要な作品とされています。

教職活動と教育貢献

1916年には東京帝国大学英文科の助教授に就任し、その後日本初の英文学教授としても知られます。彼の授業は厳格でありながら、生徒の学びを深める指導が評価されました。市河は教育検定試験委員や英文学研究の推進にも積極的に取り組み、多くの後進を育成しました。また、音声学の発展にも寄与し、ダニエル・ジョーンズから音声学を学んだ後、音声教育にも力を注ぎました。

翻訳と随筆

市河は、日本古典の英訳にも関与し、万葉集や能、俳句といった日本文化を海外に紹介しました。随筆や著作も多く残しており、特に『昆虫・言葉・国民性』や『旅・人・言葉』は彼の文才を示しています。1959年には文化功労者として表彰されました。

晩年とその影響

1960年代には、語学教育研究所の所長として長きにわたる影響力を持ちましたが、晩年は孤独な生活を送ったとのことです。市河は1970年に84歳で逝去しましたが、彼の功績は今なお英語教育の分野で生き続けています。彼の学生や後進たちによって築かれた日本の英語学は、国際的にも高く評価されています。

まとめ

市河三喜の生涯は、英語学、教育、随筆といった多岐にわたる業績によって彩られています。彼の影響は現在の英語教育や研究の礎を築くものであり、その存在は日本における英語の地位向上に貢献しました。

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