市郡

アメリカの市郡とは

アメリカ合衆国における市郡（consolidated city-county）は、市と郡が統合されて一つの自治体を形成した形態です。これは二つの異なる行政単位を合わせたもので、創設当初からこの形態で存在していたものや、別々に設立された市と郡が合併して市郡となった事例があります。

市郡の現状

市郡としての形態は、ハワイ州を除く主要な州で見られ、特に中西部やアップランドサウスの地域に集中しています。2010年の統計によると、人口が最も多い市郡はフィラデルフィアであり、面積が最大なのはアラスカ州シトカです。

市郡の合併には課題が伴い、成功率は低いことが知られています。元アルバカーキ市長のデイビッド・ラスクの研究によると、1902年から2010年の間に提案された105件の市郡合併案のうち、可決されたのはわずか27件（約1/4）にとどまっています。近年の例としては、テネシー州メンフィス市とシェルビー郡の合併案がありますが、この案は住民投票で否決された後、教育制度の統合が承認されるという複雑な経緯をたどりました。

名称の違い

市郡は時に「Consolidated city-county」以外の名称でも呼ばれます。例えば、カンザス州ワイアンドット郡は、カンザスシティとの統合を表すために「unified government」という名称を使用しています。また、合併した結果として統合を果たした場合でも、元々存在していた都市や町村が引き続き独立した形で存続することもあります。

このような状況はインディアナポリス市とマリオン郡、ジャクソンビル市とデュバル郡、ナッシュビル市とデイビッドソン郡、ルイビル市とジェファーソン郡など、他の州でも見受けられます。国勢調査においては、合併後も独立した自治体として数えられている部分を除いた人口（バランス）が、市郡の公式な人口数値として扱われることがあります。

類似の制度

市郡と似た制度に独立市があります。独立市は特定の郡に属さず、「郡相当の地域」として認識されるもので、郡政府は持ちません。合併と同時に郡政府が消滅することで新たな独立市が生まれるケースも存在します。例えば、バージニア州のハンプトン・ローズ地域で形成される独立市のいくつかは、元々の郡と合併しながら地域の独立性を保っています。

ニューヨーク市も特異なケースです。この市には5つの区があり、各区がそれぞれの郡と重なる形で存在していますが、郡政府は持たず、市政府が権限を一手に涯っています。ニューヨーク市は1898年に現在のような形に統合されました。

さらに、ワシントンD.C.の場合、連邦直轄地でありながら自治組織が統合されています。この地域では、以前にワシントン市やジョージタウン市がそれぞれ独立して存在していました。

市郡のリスト

市郡には、創設当初から統合されたものや、別々に設立された市と郡が合併して形成されたものがあります。市郡の人口の数値は、合併後も存続している自治体の部分を除いた「バランス」に基づいている場合があります。

特定の市郡の詳細な構成や人口数については、別途調査が必要ですが、全体の理解を助けるためには実際にその地域を調査することが有効です。

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