布施健

布施健の生涯と業績

布施健（ふせたけし、1912年3月21日 - 1988年2月25日）は、昭和を代表する日本の検察官であり、特にロッキード事件の捜査においてその名を知られています。出身地は岡山県の備前市で、旧姓は小橋健です。彼の法曹界での活動は、戦前から戦後にかけて多岐にわたり、数々の重要事件を担当しました。

幼少期と教育

布施は12歳の時、広島県の布施家に養子として迎えられました。広島県立呉第一中学校を卒業後、旧制第六高等学校で学び、1936年に東京帝国大学法学部を卒業しました。卒業後は検事任官となり、東京区裁判所での検事時代には、ゾルゲ事件を担当するなどして評価を高めました。

戦後の経歴

戦後は、司法省（現在の法務省）に入り、行政局第三課長としてキャリアをスタートさせました。東京地検に転属した後は、GHQのウィロビーと密接に関係を持ち、米国との接点を強化しました。1949年には東京地検の主任検事として下山事件を担当し、他殺説をとるなど、注目を集めました。

その後、1958年から1969年にかけて東京地検の特捜部長や検事正を歴任し、数々の事件を手掛けました。特に東京大学安田講堂事件や沖縄返還闘争の捜査でもその手腕が評価されました。

検事総長時代

1975年、布施は戦後11代目の検事総長に就任しました。彼の任期中には、日本赤軍によるクアラルンプール事件が発生し、超法規的措置で5名のメンバーを釈放するという判断を下しました。この判断は、当時の法務大臣と協議の上なされたものでした。

さらに、1976年には日本の疑獄史上最大の事件とされるロッキード事件の捜査を指揮しました。この事件では、元首相の田中角栄を逮捕し、起訴に追い込むという重要な役割を果たしました。ロッキード事件では、布施が社幹部との事実上の司法取引を行ったことが後に問題視され、最高裁判決ではその取り決めについて否定的な見解が示されました。

ニセ電話事件

ロッキード事件の捜査中には、布施の名を騙って三木武夫首相に電話をかけ、指揮権発動の口利きを引き出した「ニセ電話事件」が発生しました。この事件は当時大きな話題となり、布施自身もその影響を受けました。

最後に

布施健は、彼の法曹人生を通じて、日本の司法制度に大きな足跡を残しました。彼のキャリアの中で行った数々の判断や手法は、今なお議論の対象となり、検察の役割や責任について考察を促しています。彼の業績は、特にロッキード事件によって日本の検察制度における重要な歴史的瞬間を形成しました。

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